お昼のお弁当からの癒しの頬っぺた

朝、玲と一緒に登校していた。

「そういえば海斗殿」

「なんでしょう玲姫?」

「今日のお昼は何か買うのでござろうか」

「お昼?」

 いつもコンビニでパンとかおにぎりを買って食べるかな。玲朝一緒の時はいつもからかってくるけど。

「いつも通りでござる」

「そっか……良かった」

 玲はホッとなぜか安堵していた。

「お昼。一緒に食べない? 海斗の分も用意してあるから」

 トンカツも美味しかったけどまさか玲の料理が食べれるなんて嬉しい。

「本当に?」

「もちろん。海斗が好きな唐揚げとか入っているから」

 唐揚げが入っているだって。それは期待が高まる。

「昼まで待てない……」

 ヤバいヨダレが溢れてくる。

「ふっふっふ。お腹を空かせて待っているがいい海斗」

 学校に着くが午前の授業中は玲が作ってくれた弁当のことが気になって集中出来ない。

「あと、もうすぐで昼だ……」

 時計を何度も見ているがチクッチクッと時が遅く感じる。

 昼のチャイム鳴り彼女の玲がお弁当箱を二つ持ってきて海斗のところに迎えに来てくれた。

「お待たせ〜」

 すると腹の虫が騒ぎ出す。

「すまん。玲が作ってくた弁当が楽しみすぎて」

 玲はニヤニヤしながら言ってきた。

「あれれ? もしかして海斗の胃袋に掴まれちゃった?」

 否定はしない。むしろ前から掴まれていて虜になっている。

「もちろん、玲の料理は美味しいし好きだよ」

 玲は軽く足で突っついてきた。

「イテッ!」

「もう、嬉しいすぎて何も言えないじゃない」

 少し頬を赤くなって笑っていた。

「えへへ、ありがとう」

 二人して中庭まで歩きベンチに座った。

 玲は弁当を渡してくれた。

「はい。どうぞ」

「ありがとう」

 弁当の中身を見てみると唐揚げの他にもほうれん草や卵焼き。定番のタコさんウィンナーが入って色とりどりだった。

「おぉ美味そう」

「さぁ食べて食べて特に唐揚げは自信作だよ」

 唐揚げを掴んで一口頬張ると外側に塗られた甘辛いテリヤキソースと胡椒こしょうがいきなりきた。さらに噛むと肉汁がソースと馴染んでさらに美味さが倍増してきた。

「ヤバイ! 美味すぎる」

 卵焼きも醤油のしょっぱさと砂糖の甘みを絶妙なバランスだ。

 美味いとしか考えられずあっという間に食べてしまった。

「美味かった……」

 本当に玲は胃袋を掴みにかかってきて海斗好みの味だ。流石は幼馴染だなって思わせてくる。

「お粗末様でした」

 玲は弁当をしまっていた。

 こんな風に玲から食べさせて貰うばかりじゃなくて俺からも何かお返しがしたいな。

「うーん」

 お返しか……。料理は無理だし。こうして恋人。になれたわけだ。デートとか? 

 それは流石に俺は一度もデートしたことないから玲が楽しめるかどうかだもんな。

 でも、デートしたいな……。

「どうしたの?」

 玲は顔を覗き込んで見ていた。

「いや、デートをしたいなって。こんだけ食わせて貰ってるから彼氏らしいことでも……」

「ぐふっ!」

 玲は口を押さえ、吹き出していた。

「なに、どうした?」

 玲の顔がニヤけていた。

「ごめんね。まさか海斗からデートの話しが出るなんて想像付かなくて。ぐふっ!」

「また笑ったな!」

 バツとして頬っぺたを摘む。

 玲の頬っぺたを触ったけど意外にも柔らかい。

 横に引っ張るとお餅みたく伸びた。

「おぉ……」

 少し怒っていたけどどうでもいいほど気持ちがいい。

 もう少し触っていたい。

「かぃほ。ゆるひふぇ!」

「それじゃあデートするのか?」

 うんうん。と首を振って頷いている。

「仕方がないな……」

 海斗と頬っぺたを3回ほど揉んで離した。

「うぅぅ……ほっぺ絶対に落ちた」

「安心しな。取れる寸前にやめておいたからもし取れたら癒しの道具にするし」

「全然嬉しくない! それに癒しにもならないし」

「いや……。なる」

 確信的に頷く。今度から玲の頬っぺたを触って癒されようと思う海斗だった。

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