幼馴染からの恋人繋ぎ

 学校の帰り道

「今日も弁当美味かった!」

 こうして玲から弁当を毎日を作ってくれて感謝しかない。

 玲は笑顔になっていた。

「えへへ、こちらこそ。毎日食べてくれるから嬉しいよ」

「ありがとうな。なにかお礼でもするから」

 またデートでも誘ってみようかな。

「え、じゃあ……一つだけお願いしてもいい?」

「お願い?」

 玲は立ち止り顔を赤くなっていた。

「その。手を繋いで欲しいの!」

「手?」

 なんで手を繋ぎたいんのか分からないがそれがお礼になるなら……。

「はい」

 海斗は玲の手の平を握った。

「こ、こうじゃなくてもうちょっと密着とか……」

「密着?」

 まさか抱きしめろってことか?

 玲も顔を真っ赤になりながら一歩下がった。

「いや、流石に抱きしめろって流石に恥ずかしい」

 玲は首を振っていた。

「え、そうじゃなくて……」

 そうじゃない。

「じゃあどうゆう?」

「こうゆうのじゃなくて手の方をもっと……」

 なにを伝えたいのかわからない。

「具体的にどうしたいんだ?」

「一回だけして恋人繋ぎを海斗として歩いて帰りたい」

「……ふぁ!?」

 玲とはそうゆう恋人繋ぎとかしたことはない。

 握手をして手を握ったとか。お祭りの時手を引いたとかそういった何気ないやりとりなだけだ。

 こうして恋人になれて手を繋いで歩きたいって気持ちはある。

 よし。

 覚悟を決めてる。

 べ、別にこうして手を繋いでるのと変わらない。そう、変わらない……。

 普通に手を繋ぐのを変えるだけと自分に言い聞かせる。

「…………」

 あれ? おかしい……変わらないはずなのにいざっとなったら心臓がドクドクともうスピードで波打ってくる。

「い、いくぞ……」

「……うん」

 手の平を開いて指をなぞっていく。くすぐったいがさらに鼓動が速くなっていく。

 指の開きに入れてしっかりと握りしめ玲の手の小さいのと柔らかさが実感してくる。

 あれ? 玲の指ってこんなにも柔らかったか?

 なんども握っている玲の手は知っているはずなのに何故か新鮮にも思えてくる。

 段々と体の熱が熱くなってきて頭の中が真っ白になっていき恥ずかしくなってしまい慌てて手を離してしまった。

 その瞬間玲が悲しそうな顔をしていた。

「わ、悪い! その……なんて言っていいのか」

 まさかこんなに恥ずかしい感じになるとは思わなかった。

 玲は首を振っていた。

「いや、大丈夫だよ。ありがとうお願い聞いてくれて」

「……」

 今は顔を合わせるのが恥ずかしかった。

「ねぇ海斗。服を掴んで帰ってもいい?」

「あ、あぁ。もちろん」

 玲は袖口を掴んで一緒に帰っていきアパートまで送り届けた。

「今日は晩御飯はどうする?」 

 一瞬だけど玲の手を繋いだことが頭によぎり。真っ赤になっていく。

「今日は……家で食べるごめん」

「大丈夫だよ。またね」

「また」

 玲に手を振り帰っていく。

「あー。体が熱い……」

 この寒さなら熱が治るかもしれない海斗だった。

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