幼馴染が風邪を引いたからお見舞い

「もう朝か……」

 海斗は目を覚まし制服に着替え玲が待つ場所に歩いて行った。

「ねむ……」

 昨日は寝てなく、まだ玲の手の感触が残っていた。

 思い返してくるだけで真っ赤になる。

「あぁ……恥ずぃ」

 いつも待ち合わせしている場所に着くが玲の姿がなかった。

「あれ、いない?」

 するとメッセッジーが送られてきてスマホを見てみる。

『ごめん海斗。風邪引いたから先に行ってて』

「風邪?」

 だから姿が見当たらなかったのか。

『わかったゆっくり休んでな』

 メッセッジーを送り『蟻がとう』と文字が送られたがすぐにわかった。

「ありがとうか」

 風邪の時は頭がクラクラしてちゃんと打ってるようで後で見返したら変な文字になってしまっていたけど。玲は大丈夫だよと言ってくれてたから良かった。

「それにしても玲が風邪か……」

 玲は中学とか風邪とか普通に引いていたが高校になってからは今日まで一度もない。というか海斗が風邪で寝込んだ時はよく面倒をみてもらった。

「今日は世話になってるからお返しするかな」

 海斗はコンビニに向かスポーツドリンクと桃のゼリーを買って玲のアパートのドアまで来ていた。

「ドアのところで引っ掛けて置けば取りに行くかもしれないな」

 体調が悪い時にチャイムを鳴らすのは流石に気が引ける。

 メッセッジーを送っておけば気づくかもしれないな。

『ドアノブの所にスポーツドリンクあるから』

 メッセッジーを送ると既読が付いていた。

 学校に向かい空を眺めているとあっという間にお昼になった。

「あぁ。そうだった玲がいつも用意してくれてたんだよな……」

 玲の弁当食べれないのか。

 昨日、玲のご飯一緒に食べればよかったな……。

 購買でパンを買いかじりながらスマホを見てみると玲から返信があった。

『海斗。桃のゼリーとスポドリありがとう!』

 メッセージをみると安心した。

「よかった送れるようになれて」

 放課後、玲に連絡する。

『大丈夫か?』

『楽になったよ』

 放課後も様子を見に来てくれた時は嬉しかった本当に。

「玲に顔を見せに行くな」

『今から向かうけど食べれるものあるか?』

 するとすぐに返信がきた。

『ゼリーのミカンが食べたいけどいい?』

 お辞儀をしているスタンプを送るとありがとうとスタンプが返された。

 海斗はスーパーによりレトルトのおかゆとみかんゼリーとスポーツドリンクを買って玲のアパートに向かいチャイムを鳴らならした。

「はーい。あ、海斗来てくれてたんだ」

「様子を見にな。それとはい、ミカンゼリー」

「ありがとう」

 玲はさっき買ったゼリーを受け取ってくれた。

「お粥作るから座っててな」

 すると玲のまばたきがぱちぱちとしていた。

「ウソ? 海斗が作ってくれるの!?」

「まあなレトルトだけど」

「レトルト?」

 玲が首を傾げていた。

「お粥でレトルトがあるんだよ」

「へぇ最近のは凄いね」

「だな」

 玲の作ってくれるお粥にみたいのは出来ないが自分でキッチンに立つより良いだろう。

「じゃあ、上がるけど良いか?」

「うん」

 海斗は部屋に上がってキッチンに向かい鍋を温めた。

「それで大丈夫か」

 玲は頷いた。

「うん。薬を飲んで治ったから楽になったよ。ありがとう心配してくれて」

 沸騰してきてそこにレトルトの袋ごと投入して数分待つとタイマーが鳴り出した。

「アチッ! アチッ!」

 袋を取り出し皿に盛りつけて玲のところに置いた。

「ほい。熱いから気お付けて下さいませ玲姫」

「ありがとう……」

 スプーンですくって食べた。

「っ!」

 驚いたようでビックリな反応をしていた。

「レトルトの以外にも美味しい」

「だろ」

 海斗も体調が悪かったとき食べていた美味しかったから玲にも好評でよかった。

「それじゃあ俺は帰るとするかな……」

 すると玲が手を掴んできた。

「海斗、寝るまで手を繋いで欲しい……」

 昨日、手を握って恥ずかしい記憶が蘇った。

 それと同時に風邪引いたとき真っ先に両手を掴んで安心する言葉を言ってくれたのが頭によぎる。

 風邪を引いた時本当にそばに居てくれて嬉しく俺も玲と同じようにして安心させたかった。

「わかったよ」

 ベットで横になり海斗は両手で玲の左手を掴んだ。

「大丈夫だからな」

「うん」

 玲は笑顔になってまぶたが細くなっていく。

「……」

 寝顔をみると安心した。

「またな。玲」

 ツンツンと頬を突いて海斗は帰っていった。

 

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