前髪

 風呂から出ると玲から連絡が来ていた。

『前髪切りすぎた!』

『ドンマイ』

『明日学校に行けない!』

 どんな風になっているのかわからない。

『なあ写真送ってくれないか?』

『絶対笑わない?』

『もちろん』

 写真が送られてきた。

 見てみると前髪だけが綺麗に1列になっていておかっぱだった。

 可愛く気にする必要はない。

「けど小学生になら……プグッ!」

 玲が小学生でこの髪型なら違和感なく登校出来ると思うと笑だってしまった。

『どう?』

『大丈夫。大丈夫』

 メッセージを送りベットで横になるが笑いが込み上げてきてしょうがない。

 朝、起きてようやく笑いが治まった。

「可愛かったんだけどな……」

 するとニット帽をかぶってこっちに歩いてくる玲がいた。

「……おはようございます」

 そのまま過ぎ去ろうする玲の頭を掴んだ。

「うぎゃ! か、海斗放すんだ! さもなければ呪ってやる!」

「大丈夫だって言っだろ」

 ニット帽を奪った。

「あぁ……」

 目の前でおかっぱ姿の髪が揺れ動く玲が目の前にいて本当に小学生と間違われそうだなと思ってくる。

「ぷふっ!」

 笑っちゃダメだ……。

 頑張って腹に力を入れる。

「笑ってるじゃん!」

 グーでダンッダンッと殴ぐられて地味に痛い。

「悪かったよ。……プッフフ」

 頑張って玲の前で笑わないようにしているが本人が目の前にいるから笑いが治らない。

「もーバカ!」

 最終的に太ももを蹴り頬を膨らませて歩いていった。

「海斗のバカ! 今日のお昼はないから」

「悪かったて」

 玲の後を追って学校に向かった。

 

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