コタツの魔王玲

 クリスマスパーティーを終えた数日後玲は海斗の部屋で冬休みの課題をやっていた。

「海斗。この問題ってどうやるんだっけ?」

「えっとどれどれ? 確かこの問題はここを解いてからここをやれは解けるよ」

「おぉ、なるほど」

 ずっと勉強しているから首がこる。

「あぁ。疲れたよ海斗……」

 玲の集中力も切れているがこっちも切れているのがわかっていた。

「少し休憩を入れるか……」

 少しストレッチをしてると玲が首を傾げて聞いてきた。

「そういえばコタツってなかったけ?」

「コタツ? あぁ、あるよ」

 今年は出すのがめんどくさかったから出してないだけど。

 すると玲が上目遣いで近づいてきた。

「ねぇ。海斗お兄ちゃんコタツ出して」

「妹よ出すのが面倒くさい」

 腕に掴んで体を揺すってきた。

「お願い! そうすれば勉強も頑張れそうだから」

「わかった。出すから揺すらないでくれ」

 そうだな暖かいのがあれば頑張れる気がするな。

「じゃあ手伝って」

 玲は敬礼をした。

「ラジャー!」

 押し入れを開けコタツの道具を出す。

「コタツ、コタツ様〜〜」

 玲が嬉しそうに歌いながらセットしたから意外と早かった。

 スイッチを入れると玲がコタツの中に入り込んだ。

「あぁ〜〜温かい……」

 顔だけ出してるこの可愛い生物はなんだ……。

 頬っぺたを軽くしてツンツンと触りどんどんとろけてる顔になっていく。

「えへへ……」

「俺も入るか」

 玲が全身入っているせいでコタツに足が入らない。

「玲姉ちゃん。足どけて」

「いやじゃ……」

 即答だった。

「私を倒してから中に入るがいい。勇者海斗よ。ハハハッハ」

「ほう? よし倒そう」

 海斗はニヤッと笑いながら玲の太ももに冷えている足の乗せた。

「うぎゃぁあぁぁ!」

 悲鳴を上げているが気にしない。

「どうした。魔王玲? 俺も入れる気になったか?」

「やめろ、離すんだ、悪魔!」

 コタツがあるのに足を入れさせないのはそっちが悪魔だと思うが。

「で、どうなん?」

「ぬぅ……私はこれでも屈しない」

「……ならば仕方がない」

 台所に向かいみかんを片手に持ってくる。

「玲。これなんだ?」

「……みかんっ!」

 玲の目が輝いていた。

「どうする?」

 玲はモゾモゾと動いて上半身だけ体を起こした。

「海斗にコタツの半分をあげよう。たがらみかん頂戴」

 ようやくコタツに足を入れることが出来てみかんを数個。玲に渡す。

「ありがとう」

 少し休憩して残りの課題も終わらるのだった。

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