膝枕からの膝枕

「海斗、海斗。膝枕しない?」

 玲が正座してポンポンと叩いてた。

「いいけど、どうして?」

「あれ、ちょっとやってみたくて……」

 テレビのドラマで膝枕をしていた。

 膝枕か、まぁ嫌いじゃないけど。

「それじゃあお願いします」

「やった!」

 はしゃぎながら玲が近くに座ってきた。

「はい。頭あげて」

 顔をあげ玲の膝に頭を乗せ横側を向いた。

 気持ちいい……。

 中学の時貧血で倒れたときやってくれたときと同じ感触だ。

 玲が髪の毛を掴みながらなでていた。

「海斗の髪ってやっぱ硬いね」

「そう?」

 玲は頷いた。

「うん。いつも夏になると坊主にするじゃない。頭触るとタワシみたいで気持ちいいもん」

「タワシって……」

「感触がそうだったもん」

 玲がニヤッと笑っていた。

「ねぇ海斗。髪の毛坊主にしてきたら?」

「いやだよ。寒いから」 

 本当にこの時期の坊主は頭が冷える。伸びているのとないのだと本当に違うんだからな。

「えー? こんな今触ってる猫の毛並みじゃなくてタワシの方がチクチクして気持ちいいのに」

「いやだ。ガゥ!」

「海斗犬が怒った!」

 そう言いながらまた髪の毛をわしわしと触っている。

「それと思ったんだど重くないか?」

「いや全然? むしろ面白い」

「面白い?」

 玲が頷く。

「こうして海斗の顔見れて面白いって思って。えい」

 鼻を急に掴んできた。

「やめろ!」

 鼻を離すと小悪魔みたく笑っていた。

「にしし!」

「この、交換だ! 今度はそっちが膝枕する番だからな」

「いいよ。一度だけ海斗に甘えたかったんだよね」

 立場を入れ替えて玲が膝の上に頭を乗せた。

「おぉ……。海斗にしてもらったことないから驚き」

「なるほど、なるほど」

 玲の頬っぺたを軽く掴んで遊んでみた。

「ふぎゃあやめろ。フシャー!」

 猫みたく怒っていた。

「よし、よし、よし……」

 頭を撫でて落ち着かせる。

「にゃん……」

 落ち着いたようで良かった。

 撫でたけど、玲の髪はふわふわだな。こっちこそ猫の毛並みそっくりだ。

 少し玲の髪を堪能たんのうする海斗だった。

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