新学期からのボディタッチ

 新学期に入る晩。玲は支度をするため自分のアパートに帰っていき翌朝いつもの場所に集合する。

 玲が手を振っていた。

 いつものコートに黒のタイツと見慣れていた。そしてクリスマスにあげた手袋をしている。

「おはよう」

 玲がちょこんと近づく。

「おはよう。手袋に似合ってるよ」

「あ、ありがとう……」

 玲の顔が赤くなっていた。

 すると横腹をいきなり突っついてきた。

「えいえい!」

「ぐはっ! なにするんだ……」

「ふ、ふふ。海斗を倒せば経験値が大量に入ってくるとこの手袋から聞いたのだよ……」

 悪い顔でニヤリと笑っていた。

「待ってくれ。俺は味方だ! 信じてくれ」

「待てぬ!」

 さらに横腹を突っついてきてくすぐったい。

「あはは! 玲、やめてくれ……」

 くすぐったくてシニュ……!

「お、ほほ。これで40になったし魔王を倒しにいきますか」

 学校の方に歩く玲に仕返しを仕掛ける。

「てい!」

 両手で腹を触ると玲がビクンッと跳ねた。

「うぎゃぁぁ! 海斗いきなり何をするんだ!」

「さっきの仕返しじゃ」

 すると玲がお腹を押さえて後ろに下がっていった。

「……あれ?」 

 まさか変なところに入った? それでお腹痛くしてしまったとか……。

「わ、悪い。まさか腹を痛くするつもりじゃなかったんだ。すまん」

 けど玲は首を振っていた。

「いや、その……」

 さらにお腹を押さえていた。

「ふ、太ったからお腹は触らないで欲しいの……」

「え? 太った?」

 玲のお腹や全身を眺めるが去年と変わらない。

「そんなに変わらないけどな?」

 けど玲の顔は真っ赤のままだった。

「いや、その……体重計に乗ったら増えていたから。きょ、今日のところはね?」

「ふむ……」

 ホントに見た目は変わらない。ちょっと試しに触ってみよ。

「さっき横腹触られたからな……そのお礼も込めて触らないと」

 ワクワクと好奇心が出て玲に近づく。

「い、いやさっきのは謝るからね。んね!」

「よし、玲を倒して経験値稼ぎだって言ってたもんな」

「誰が!?」

 玲のツッコミはよそに玲のお腹をさすった。

 けど掴むがそんなに肉が付いてるって気はしない。

 あれ? 本当に太ったのか?

「そんなに変わらないけどな」

「「い、いややぁぁぁぁぁ!」」

 玲の悲鳴をあげビンタを食らった。


 パンッ!!


 その日はコンビニで一番高いスイーツ弁当のおかずをあげて怒るのを沈めた。

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