第8話 休日1
前回のあらすじ
料理対決の後、突如美冬がお泊りするという展開になりました。
以上。
ま、待てよ・・・
「ちょっと俺、いろいろ片付けてくるわ」
さすがに女の子を家に上げるのに物を片付けないのはどうかと思う。
勘違いするなよ?
別に俺は美冬に片付けもできない男なのかと幻滅されたくないからとかじゃないからな?
俺が片付けに行こうと席を立ったそのとき
「別にいいんじゃない?お兄ちゃん、そんなに部屋汚くないじゃん」
と夏美がそう言った。
って、別に俺は美冬を部屋に入れるとかそんなこと一言も言ってませんけど!
そんな汚らわしい欲望を抱いているわけないだろう・・・
だって俺だぞ?かっこいい俺だぞ?(目元以外)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
はいごめんなさい実は1ミリぐらいは抱いちゃいました!ごっめ~ん!
けどな、もし、もしだぞ?もし美冬が部屋に入りたいとか言ってくれた時のためだぞ?そんなときにきっちり整理されていてピカピカの部屋だったらちょっとかっこつくじゃないですか?
気になる女の子の前では大人っぽいところを見せたい俺でした。
「べ、別に私もそんなに気にしませんよ?」
美冬ちゃんもそう言ってくれました。ありがとおおおおお!!
けどな、これは男の意地みたいなやつだ。
「ま、まぁけどな、これは俺が片付けないとなんかお前に悪いというか、それに俺の部屋以外にも片付けるところはあるしな」
と俺はふたりにそう語った。
「ん、わかった。お兄ちゃんは二階片付けてきて。私は一階片付けるから」
「おう、サンキューなマイシスター!」
「ユーアーウェルカムだよ、マイブラザー!」
そうしてハイタッチ!このノリ久しぶりだな。
「わ、私は・・・」
美冬がどうすればいいか困惑した様子で俺の方に視線を向けてきた。
い、いやきみに見つけられると困るものがあるかもしれんからな・・・
いや、そんなものがあるとは言っていないぞ!
俺の記憶から忘れ去られた物がどこかにあるかもしれんからな。
それに彼女は客人だ。
「お前はそこで休んどいてくれ」
俺がそう言うと夏美も
「そーだよ!美冬ちゃんは休んどいていいよ!どうしても何かやりたければ私の方を手伝って」
彼女の手を握りながらそう言った。夏美の目には確かな配慮の念が感じ取れたが、それ以外にも何かが宿っていたような気がした。
「・・・うん。わかった」
美冬は穏やかに微笑んでそう言った。
やっぱお前ら、友達同士だな。
***
超速で二階を片付けました。それはもう超速ですよ?
めちゃめちゃ張り切っちゃいましたよ!
「おっそうじ楽しいなー楽しいなーわっはははは」
ってな感じでな。
正直これはドキドキをごまかすためでした。
だってそうしないと平常心保てないんですよぉ~
俺が片付け終わって一階に戻ると、もう一階の片づけは終わっていたようだった。
リビングでふたり仲良く話していた。
さっすが~片付けも俺より上手らしい。関心関心。
俺も頑張らないとな・・・・・。
「片付け、終わったぞ」
俺がふたりにそう言うと
「おっつかれ、カツカレー」
「お疲れです!」
そう言って彼女たちはにこっと笑った。
お、おおまぶしい!なんかふたりのまわりがキラキラしてる気がする・・・
「お、おう。そうだ、お前ら先に風呂入れ」
あいつらを先に入らせないと俺が出てきたときに脱衣所で遭遇してしまうような展開が起こりかねんからな。
いや、むしろ望むべき展開か?いやダメだ!
ふたりの好感度を得るためにはそんな欲望を抱いてはならない。
ダメだダメだダメだ!
俺が
「「いってきまーす!」」
ふたりそろって浴室へと向かった。
「おう、いってらっしゃい。お兄ちゃんは修行僧になってくるわ・・・」
そうして20分ほど俺は「ダメだダメだダメだ」と唱えながら手を合わせておりました。
***
ふたりが出てきてリビングに戻った後今度は俺が風呂に入った。
そして風呂では・・・・・
「ううううううううううううううううう」
ちょっとしかたっていないのにもうのぼせそうだった。
その理由は
「風呂上りやべぇぇぇぇぇぇ!!!」
一瞬目に映ってしまった光景が頭から離れない・・・
ほのかに肌は上気し、髪はより一層の艶を得ていた。
美しさがさらに増していたのだ!
正直、夏美の美しさにも驚きを隠せなかった。
だがそれ以上に美冬の美しさに目が釘付けになりそうだった。
なんで、なんで、なんで・・・・・
「あんなに可愛いんだよおおおおおおおおおおおお!!!」
俺はひとり風呂で叫んでいた。
俺が風呂から出た後、寝る準備をした。
もちろんお嬢様たちは別の部屋ですよ?
少し遠くから楽しそうな話し声が聞こえてきた。
三人一緒に暮らせたら楽しいだろうな。
そんなことを思いながら俺は眠りについた。
深い眠りにつく前に部屋の扉が開く音がしたのは気のせいだろう。
***
翌日。土曜日。
俺がゆっくりと目を開けると・・・
「おはようお兄ちゃん!」
「おはようございます冬人さん!」
そこにはふたりの天使がいた。
あれ?ぼく、いつの間にか天国にいっちゃたのかな?
何かの間違いだと思ってもう一度寝ようとすると
「おーきーてー!!」
「起きてくださーい!!」
今度は顔を近づけてきて肩を強くゆすってきた。
ばかばか、痛いし近いしやめろって!
「お、おう。おはよう」
急いでベッドから跳ね起きた。
「っていうかお前ら何でここに?」
「「それはもちろん」」
「「勝負のため!」」
えー!!何、今度は何ですか!
「美冬ちゃんとどっちが早くお兄ちゃんを起せるか勝負をしてたの」
「そうなんです!だから今から一時間ほど前からこの部屋で冬人さんの寝顔を拝見してました。つっついてみたり~」
「キスしてみたり~」
「抱き着いて『冬人さんだーい好き』って耳元で
「ええ!!」
え、俺、妹にキスされてんの!?マジ?じゃあ俺もやらないと!
それに美冬に抱き着かれてんの!?しかも「大好き」って・・・
「うわあああああああああああ!!」
嬉しい恥ずかしい嬉しい恥ずかしい嬉しい!
俺が顔を手で隠しながら脳内で叫んでいると
「「っていうのは冗談!!」」
ですよね~。
***
その後、俺は着替えて一階に下りて食卓に着いた。
「おお、こりゃまたすげぇな」
朝からそこそこ豪勢な料理が並んでいた。
「私と美冬ちゃんで作ったんだよ!」
「は、はい。さ、食べましょう」
そうして最高の料理を、最高の妹と、最高の少女と一緒に味わっていた。
ほんと俺、幸せ者だよな・・・
「ところでお兄ちゃん、今日は私たちにつきあってもらうよ!いいよね?」
「ああもちろんだとも!」
俺は即答してしまった。だって妹の頼みだぞ?聞く以外の選択肢はないだろ!
「今日はデートにつきあってもらうよ!って言っても勝負だけど」
「はい。私と夏美ちゃんのどちらが冬人さんを楽しませることができるかの勝負です」
「え?今、なんて・・・・」
俺の聞き間違いだといけないので聞き返した。
「冬人さんにはデートにつきあってほしいんです!」
ちょっとむくれながら美冬がそう言った。
その姿も最高に可愛いです!
「やったああああああ!!!」
え、デートできんの?マジ?
妹ともデートっていうのかな?
しかも勝負って言ってたよな?ってことはお試し・・・?
細かいことは気にしませ~ん!
「お兄ちゃんには私たちの3時間ほどのデートに付き合ってもらうね!」
「まず私と夏美ちゃんのどちらかがこの家に残り、3時間経ったらまた戻ってきて交代します」
「そしてふたりとも終わったらお兄ちゃんが、どっちのデートの方が楽しかったかを決めて!」
今は午前9時くらいだ。ってことは午前と午後で交代ってことだろう。
「おう、わかった。っていうか、どこ行くんだ?」
「おっしえな~い!ちらっ」
「おっしえませ~ん!ちらっ」
そう言ってふたりはにらみ合っていた。またなんですね、そうなんですね。
君たち仲いいね!
まぁお楽しみということか。
うおおお!緊張してきた。もう心臓バックバク。ほんとバクバクしてるよぉ!
俺は正直、初デートなこともあって浮かれていた。
大変な一日になるとも知らずに・・・。
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