幕間2 美冬の気持ち

 私は昔から男の子によく告白されました。


 なんとびっくり、幼稚園児だったころからです!


 自慢じゃないですけれど。正直、大変なことが多かったです。


 一部の女の子からは恨み、ねたみ、そういった感情がぶつけられてきました。


 まぁでも私はコミュ力は高い方なので友達はいますよ?親友の夏美ちゃんだけじゃなく、他にも何人かはいます。


 告白された回数はもう数え切れません。けれど私は何度も断っています。


 またそれがきっかけで「神楽坂さん、あの子の告白断ったらしいよ。ちょっときれいでモテるからって何様なんだろうね」とかささやかれたこともあります。


 でも仕方ないじゃないですか。


 だって本当に好きじゃないんですもん。今はもう昔と違うんですよ!


 自分の地位のために本当に好きでもないどこぞのイケメンと付き合ったり、結婚したりするのは!いつ時代ですか!教えてください!


 っていうのが本音です。


 年を重ねるにつれてそういう周りの悪感情への付き合い方は分かっていきましたので今はそんなに困っていません。


 私も思春期の恋する乙女でありたいのです。そう思って日々を過ごしていました。


 けれどあの日。


 私の大親友の夏美ちゃんが家に来ないかと誘ってくれた日。


 それにしても夏美ちゃんって、悔しいけど本当にきれいだよね?あのつややかな黒髪、ほんっときれいだよ!きれいすぎて鏡みたいに周囲の風景を映しちゃってるんだよ!知ってました?


 それに私に負けないぐらいの真っ白な肌。


 そんな魅力をもつ彼女もまた、私と同じように男子からの人気があるみたいです。


 私も夏美ちゃんも年上の先輩から告白されたことがあるくらいです。


 けど、私だって彼女と同じくらいの美貌の持ち主だし?全然嫉妬なんてしてませんよ?ほんとですよ?信じて・・・くださいね(うるうる涙目)?


 そんなことはさておき。


 前々から夏美ちゃんにはお兄さんがいることは聞かされてました。


 けれど。けれども!


 何でよりによってあんなにかっこいいんですかああああああ!!!!


 どうやらあの日、私は初めて本気の恋をしてしまったようです。


 冬人さんたちの前では平常心を装っていますが、帰って一人になったときや制御できなくなったときは思わず顔を真っ赤にしてしまいます。ううううう。


 「私、図々しくないかな?」「ちょっと距離近すぎたかな?」「うっとうしい妹の友達だなとか思われていないかな?」とかをついつい考えてしまいます。


 けれど。


 こんな恋は一生できないかもしれない。


 そう思いもします。


 だから私は頑張って冬人さんにアピールしてみることに決めたのです!


 けど結構無理してるからときどき恥ずかしさで死にたくなります。


 うわああああああああああああああああ!!(顔面温度100度)


 ってね。


 最近分かったことですが冬人さん、妹のことちょっと好きすぎません?


 いわゆるシスコンですか。はぁ~そうなんですね。シスコンの兄なんて都市伝説かラノベ主人公しかいないかと思っていました。びっくりぽんです!


 妹にしょっちゅう「大好きだー!!」とか叫んでるそうですし。


 それに夏美ちゃんも冬人さんのこと大好きですよ・・・あれ


 ね?みなさんもそう思いますよね?だってべったりくっついて離れようとしないんですからね?


 ってことは、夏美ちゃんって・・・


 ブラコンじゃねぇか!バカやろォー!!!


 なかなか彼女も執念深いところがあります。


 そんな彼女から冬人さんを振り向かせて見せるために私は今、夏美ちゃんと勝負をしているというわけです!


 告白対決のときを見ていたら、ひょっとして・・・なんて思いました。


 それは私の希望的観測にすぎないかもしれません。


 けれど望みがあるのなら私は戦います!負けません!


 いざ、勝負です!


 

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