概要
人生、解けなくてもいい問題ばかり。
新米バイト塾講師・門出窓太が解くのは、国数英理社に限った問題だけではない。教室内から突如剥がされる合格実績一覧表、不自然なコマの入れ替わり、許されざる謎の休日出勤者、そして生徒たちの不穏な心模様。果たして塾や生徒の未来に桜は咲くのか?! 次の世代へバトンを繋ぐ、遅咲き青春ミステリー。開幕です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!先ゆく者から君たちへ。若き塾講師が謎解く、日常系ミステリー。
短編連作ながら、各章がその後の伏線にもなっていくという、練り込まれた日常系ミステリー作品でした。視点、語りが主人公に統一されており、丁寧で安定した文章ながらウィットにも富んでいます。
凄いと思ったのは、丁寧な伏線の仕込み方。何気ない会話や目にした光景が謎を解くヒントとなっているだけでなく、そこで得た気づきが次なる事件を解く糸口にもなってゆく、という仕立て方。思わず、最後まで一気に読んでしまいました。
登場する人物たちは、主人公の門出窓太くんを始めとしてなかなか個性的です。起きる事件――もしくは謎、挑戦と言い換えてもいいかもしれません――は、タグにもあるように、人が死なないささやかなも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新米講師、謎多き学び舎へ着任す!
神奈川塾なる学習塾のバイト講師となった門出窓太は、初出勤日に早速室長から仕事を命じられる。まずは壁を埋める合格実績の張り紙をすべて剥がすこと。その次に、これを全部剥がす理由についてを秘密裏に解き明かすこと。
こちらの日常の謎、導入が実に見事なんですよ。塾の名前の由来(本編でご確認を)から入って、主人公の窓太さんや彼と関わるキャラの人となりを織り込んで、謎解きへ向かう。
書き手の方には実感していただけるものと思いますが、説明を伴うだけじゃなくて動きの少ない導入をおもしろく書くって、凄まじく難しいことですよね。それが絶妙なバランスでまとめられていることで目を惹きつける内容を成しています…続きを読む