どうせ俺はNPCだから
枕崎 純之助
序幕 地の底の出会い
「クソッ。完全に閉じ込められちまった」
この
本来あるはずのない床下の空間に閉じ込められ、アホみたいに巨大で分厚い二枚の岩盤の間に
まったく面白くねえ話だ。
こんなカビくせえ
悪魔同士のケンカに負けることはある。
そんなことが気に食わねえわけじゃねえ。
悪魔ってのは他人を
俺をここに閉じ込めた連中は正しい悪魔だったってわけよ。
気に入らねえのは……俺のこのクソ弱い下級悪魔の体だ。
今だってこんな岩盤程度ぶち破れねえんだからな。
このままだと俺はゲームオーバーになることもなく、ここで岩盤に
そんなことになってもこのゲーム『
どうせ俺はNPC《ノン・プレイヤー・キャラクター》だから。
しかもどうでもいい下級悪魔で、俺の代わりはいくらでもいる。
俺をここに閉じ込めた上級悪魔のクソ野郎どもは今頃、この俺の惨状を想像して大笑いしてやがるだろう。
アホどもが。
そしてあんなアホどもにまんまとしてやられた己のマヌケさにはほとほと愛想が尽きた。
ムカつく奴らをぶっ殺してやりたくて、俺は毎日のように訓練に明け暮れ、実戦経験を積むために昼夜を問わずにケンカケンカまたケンカ。
おかげでこの近辺じゃ俺に
だが……しょせん俺は下級悪魔。
その力には限界があり、一定のラインを越えることは出来ない。
クソ
「くそっ!」
ヘラヘラした上級悪魔どもにいいように遊ばれて、こんな場所にハメ込まれた俺は、煮えたぎる怒りを我慢できずに腹の底から吠えた。
「くそがぁぁぁぁぁぁぁっ! どいつもこいつもぶっ殺してやる! 皆殺しだ!」
「ひいっ!」
……あ?
何だ今の声は。
俺は自分を
ここは悪魔も寄り付きゃしない
こんな場所に誰かがやって来るはずは……。
そう思ったその時、
それは
一体何が……ん?
「きゃっ……アイタッ!」
出し抜けに小さな人影が宙に踊り、地面にドサッと何者かが落ちてきたんだ。
突如として開いた岩盤の
「誰だ? てめえは」
俺の目の前に唐突に現れたのは、まだ若い見習い天使の小娘だった。
この小娘との奇妙な出会いが、俺のNPCとしての人生を大きく変えることになる。
この時はそんなことこれっぽっちも予想しなかったがな。
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