第12話 弾幕空中戦!
「
風も波も消えた奇妙な
人虎一体の魔物と化したグリフィンは、
それがグリフィンの放つ光の
もともと天使だったくせに
まるで悪魔のように変わり果てた今のグリフィンの姿を象徴するかのようなネーミングだぜ。
だが名称はともかく、その威力は一撃必殺級だ。
一発でもまともに浴びたらライフの残量に関係なく俺の体は溶かされちまうだろう。
直撃即死のプレッシャーが、
一方で俺の放つ
『どうした?
ほとんどボソボソと
俺の必死の攻撃も奴にとっては無意味に等しい。
だが、俺には俺の戦い方がある。
好機が
俺は奴の周囲を回りながら、その背後に
だが背中にも同じように不正プログラムの防壁が存在し、炎の
グリフィンは顔色ひとつ変えずに
だがグリフィンは立て続けに凶悪な光の
攻撃判定の広さから俺はそれを完全には避け切れず、その威力をわずかずつ浴びてしまい、徐々にライフが
もう回復アイテムは
グリフィンは的確に俺を追い込んでくる。
本当に嫌な野郎だぜ。
だが、こっちだって手がないわけじゃない。
それはもうすぐ満タンを迎えようとしていた。
このゲージは俺にしか見えない。
グリフィンの
そうでなければ奴の不正プログラムをかいくぐって攻撃を仕掛けることは出来ないだろう。
『まったくムダな時間だ。貴様はこれで互角に戦えているつもりか?』
そう言うとグリフィンは急に飛行速度を上げて俺に接近してくる。
くっ……まだ速くなるのかよ。
俺は全速力で飛翔して距離を取ろうとするが、グリフィンのほうが圧倒的に速い。
だが俺は直線距離を飛ばずに反転と
『フンッ。こざかしい』
吐き捨てるようにそう言うとグリフィンは2本の槍を頭上に
するとその槍が光を帯びて
まるで槍そのものが燃え盛る炎の柱のようだ。
一体何をするつもりだ?
目を見張る俺の前方でその光は槍の刃の長さを超えて天を突くように上へ上へと伸びていく。
それは上空に伸びた穂先が見えないほど長い光の槍と化した。
その長さは何百メートルあるか分からない。
「何なんだ一体?」
『これぞ地を裂く天槍だ。その身をもって威力を知るがいい』
驚く俺の頭上から光の槍が鋭く振り下ろされる。
それはまるで天から下る裁断の刃のようだった。
俺はそれを必死に避けるが、グリフィンは続けざまにもう一本の槍を横一閃に振るう。
「くっ!」
俺はのけ
何て攻撃だ。
手持ちの武器による攻撃でありながら無限の射程を持つ射撃のようなそれは、完全に常識外れだった。
俺にとって未知の攻撃だ。
魔法や射撃とは異なる遠距離攻撃。
しかもこれだけの長さの槍でありながら、その質量をまるで感じさせない槍さばきをグリフィンは見せる。
あまりにも速く、あまりにも平然と。
まるで巨人の振るう槍だ。
『自分が虫けらのように思えてくるだろう。そうだ。貴様は虫けらなんだよ。私の大いなる野望の炎に焼かれて無残に燃え尽きる虫けらなんだ』
や、やばい。
避けるのが精一杯だ。
まったく攻撃に転じる余裕がねえ。
このままじゃ
奴の言う通り、俺は虫けらなのか?
虫けらのように
冗談じゃねえぞ。
俺が必死に体を動かしながら脳もフル回転させていたその時、俺の耳に例のゴォンという重低音の通知が鳴り響く。
俺だけに聞こえるその音が響いた
来たか。
一も二もなく俺はそのスイッチをオンにする。
【
下級種の限界値に達してそれ以上は伸びないはずの俺の全ステータスが、大きくその数値を伸ばした。
視界はクリアーになり、耳は冴え渡る。
そのせいかグリフィンが振り下ろし、
これならいける!
「見せてやるよ! 虫けらの根性をな」
俺はすぐさま身を
「
『ムダだ。また妙な
グリフィンの言葉通り、炎の
だが、視界がクリアーになっている俺はハッキリと見た。
もしかしたら……。
直感を得た俺は再びグリフィンの槍をかいくぐりながら、間髪入れずに次の攻撃を放つ。
一気に行くぜ!
「
そして意識の力を技に込めた。
「
出来た……イメージ通りだ。
ドレイクの奴にさんざん言われた意識の力がここに来て、頭に浮かんだ俺のアイデアを実現させるに至ったんだ。
そしてその群れはグリフィンの頭上から雨あられと降り注ぐ弾幕の波状攻撃となる。
もちろん数が多かろうとグリフィンは不正プログラムの防壁で、それらを余裕で防ぎ続けている。
だが俺は構うことなくすぐに次の一撃を放つ。
「
次のイメージは一点突破だ。
可能な限り炎を凝縮させろ。
「
そう叫んだ俺は、自ら放った技の変質ぶりに目を見張った。
俺の手から放たれたのは、いつもの赤い炎の
青い
それは海鳥が水面に飛び込んで魚を獲る時の姿に似ていた。
そして
するとそれはまんまと不正プログラムの防壁をすり抜けてグリフィンの体に直撃する。
『ぬうっ!』
青い炎の
グリフィンは思わず顔を
『
グリフィンは怒りの声を上げて光の槍で
さすがに
奴の首元が赤く
これは効くぞ。
奴の不正プログラムの防壁も完全じゃないってことだ。
防壁それ自体は突破できなくても、先ほどの
だからこそ
今こそ流れをこちらに引き寄せる絶好のチャンスだ。
俺は
「
再び大きな炎の
だが、グリフィンとて二度も同じ手を食らうアホじゃない。
奴は不正プログラムの発動をやめ、大きく
そして同時に
俺は奴同様に大きく
それは弾幕となってグリフィンを襲う。
グリフィンは
「チッ。
俺はひたすらに
戦局は俺のペースで進んでいるが、時間の経過および
もうあまり時間がない。
意を決した俺はリスクを覚悟でグリフィンとの距離を詰めていく。
当然、グリフィンは両手の光の槍と
だが、
そうすることでグリフィンは防御に意識を
だが、もう一手足りない。
しかし実際に奴にダメージを負わせるもう一手が届かない。
地上戦ならば
「それなら……」
俺はそこで
俺は海竜の
ブォォォォッという低い音が響き渡ると、瞬時にして海面から
それはグリフィンの体を直撃し、さらには俺をも巻き込んで海面に落ちる。
俺たちは問答無用で海の中へと沈められた。
だが、それを予期していなかったグリフィンと、事態を巻き起こした張本人である俺とでは、その後の初動に差が出た。
沈み込んだ海中から浮き上がろうとするグリフィンに対して、俺はいち早く海中を泳いで接近する。
そしてグリフィンのすぐ
「ぷはっ!」
『貴様っ!』
「おせえっ!」
襲いかかる俺に気付いて主人を守ろうとしたのか、
だから俺は
「
俺の手から放たれた青い炎の
『ゴフッ……グガッゴアアアアアッ!』
『くっ! おのれっ!』
ざまあみやがれ。
そんな体に自分を改造した報いだぜ。
「
俺は至近距離から
それはグリフィンの体に群がっていく。
当然それに
奴の防壁が細かく点滅を繰り返すのを。
今だ!
「
『ぐっ……はあっ!』
そして人虎一体のグリフィンの巨体を後方に大きく吹き飛ばし、奴はフーシェ島の砂浜に叩きつけられたんだ。
そこで俺のバーンナップ・ゲージが底をつき、
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