第19話「討ち入りじゃーーー!」

『おう、ごらッ! 今すぐ行くから、その汚ぇつら引っ提げて待ってろや!!』


 ギャラギャラギャラギャラギャラ!!


 履帯キャタピラを激しく唸らせて、アルガスは代官の館に突っ込んだ!!

 正面で盾を構えて槍を番えた連中がいようが知った事か!!


 おらぁぁぁああああああ!


『───ティーガーⅠの装甲は100mmじゃぁぁああああああ!!』


 ドッカーーーーーーーーーン!!


「ひーーでーーーぶーーー!?」

「あべしーーーーーーーー!?」


 衛兵ごとぶっ飛ばして屋敷に突撃する。


 そして、ズドーーン! と、冗談でも比喩でもなく屋敷が揺れたッ!!


『おらおら、どけどけーー!! ティーガーⅠのお通りじゃー!』


 そして、戦車の巨体を引っ提げて屋敷の中に突っ込んだアルガスは、エンジンの馬力に任せてバリバリバリ! と走り回る。


「や、やめろぉぉお!!」

「逃げろぉぉおおおお!」


 使用人や衛兵が泡を食って逃げ回る。


「アルガス?! あ、ああ、アンタねえ! や、やり過ぎよぉぉおお!」


 どこに隠れていたのか、セリーナがボロボロの格好で逃げ惑っていた。


『何が、やり過ぎじゃボケ! お前らがぶん殴って来たんだろうが!!』


 セリーナ目掛けて機関銃を乱射しようと指向する。


 そのついでに、砲が壁をバリバリと破りながら屋敷の中で砲塔旋回!!


「うひゃあああ!! ちょ、ちょ、ちょぉぉおおおお!!」


 セリーナが扉のドアを開けて逃げ回る。

 それを追って砲塔もグールグル!! 屋敷をぶっ壊しまくる。


「い、いたぞ!」

「ば、バカ! 声が大きい!!」


 その先に、でっかいボウガンを構えた衛兵の隊長や、ヤクザ者の盗賊ギルドの連中がいた。


 連中は逃げようにも、アルガスが無茶苦茶暴れ回るものだから逃げ損ねてしまったようだ。


 仕方無く迎撃に出たものの、バカのせいで敢えなく発見された。


 どうやら、武器庫から色々持ち出してきたみたいだが──────。


「か、構えぇぇえ!!」


 巻き上げ機で装填する、大型ボウガンを構える衛兵ども───。

「射てぇぇええ!!」


『───んなもん、効くかぁぁあああ!!』


 ガシュン、ガシュン!!


 と、大型ボウガンがぶっ放されアルガスに命中するも───ガン、ギン、ゴン、ガッキィィン!!


「ひえ?!」

「うそぉん!?」


 衛兵隊長も盗賊どももビックリ仰天──。

 つーか、ティーガーⅠ舐めんな!!


「どけどけ! コイツで仕留めてやるぁ!」


 ここで、盗賊ギルドの親分格───カシラの登場だ!!


「さ、さっすがカシラぁぁあ!」

「痺れるぅ、憧れるぅ!!」


 盗賊ギルドのカシラは、武器庫の奥にあった総鉄製のバカでっかいボウガンのお化け──────バリスタを持ち出してきた。


 それを誇らしげに操作すると───!!


「賞金500枚は俺のもんだぁぁあああ!」


 ドキュン!!!──────カァン♪


「───……あれれ?」


『…………はっはー。一発は一発だ』


 装甲に傷もつかない……。

 だけど、一発は一発。


 さーて、と。


 すぅぅ、

『───撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけじゃぁぁぁあああ!!』


 発射フォイエル!!


 ドカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッッ!!!


 室内ゆえ、くぐもった射撃音が無情に響く。

「「「うぎゃぁぁああ!!」」」

 そして、射線にいた衛兵隊長も、盗賊ギルドの面々も、カシラごとまとめてミンチになる。


「ひぃぃぃいい!!」


 そして、とっとと逃げればいいものを、暢気にボウガン戦を眺めていたセリーナが腰を抜かしている。


『───おうおうおう。よー、クソ受付嬢さんよ。ギルドに冒険者が来たらよぉ、言うことあんだろうが……!』

「ひは?!」


 そうだ。

 コイツは毎度毎度───人の顔見たら舌打ちするわ、露骨に嫌な顔するわ……。


『さん、はいッ───♪』

「ぎ、ギルドにようこそ───」


『───それが挨拶じゃ、ボケぇぇええ! 覚えとけ!!』


 ───蹂躙開始ッ!


 ギャラギャラギャラギャラギャラ!!


「うぎゃああああああああああああ!!」


 スッゴイ声を出して悲鳴に次ぐ悲鳴!!

 うるさい声量だけで、充分魔物に太刀打ちできるだろう。


 だが、死ね。


「──────うわーーーん。お嫁に行くまで、死にたくなーーーーーい!!」


『お前を嫁に欲しがる奴が、いるかぁぁぁあああ!!』───ボケぇぇえ!!


 猛スピードで通過し、牽き殺す勢いで戦車の正面装甲でゴキーーーーン! と頭をぶん殴ってやると、履帯と履帯の間に上手く潜らせギリギリで轢き殺すのを勘弁してやった。


 だが、鋼鉄の塊は数センチ上を駆け抜けていく様は恐怖に違いない。


 アルガスが駆け抜けた後にはボロボロの部屋と、髪の毛が真っ白になり老婆のような有様になったセリーヌがいた。


「あへ、あへ、あへへへへ」


 白目剥いて涎ダラダラ……。


 どうやらよほどの恐怖で──────……南無。


『ふん……。そうやって笑顔でいろッ! 受付さんよぉぉおおお!』

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