42 行政上の都合
「常時泊まり込みの管理人?それは私が領主になったときくらいに廃止されたよ」
エッダとキーリー、そして帰りがけのウェイバー公の三人が村の外れまで探しに来てくれたのでそこで合流した。
感謝の言葉は「むしろ謝ってもらえ」という親方様の言葉で打ち消され、エッダがむしろ謝罪することになる。
そしてウェイバー公に
「私は一旦集会所に帰って皆に挨拶して帰るが、君はどうする?山道は疲れただろうし、先に帰るというなら一緒に載せていくが」
と聞かれた。他の人間たちは、まぁ来たついでだということで今度の猟の相談なんかをドワーフやエルフとしてから帰るらしい。
俺はもういいや。疲れたし。
ということでウェイバー公の好意に甘えてついて帰ることにする。でもどうせあの牛車なんよなぁ。
そしておばさんは集会場に行く前に家に行くというので、そこで我々と別れた。その際になにかよくわからないカンパンのような菓子をくれた。見た目は薄いカンパンなんだが、口の中でかんでいるとガムのように伸びる。よく噛むと歯にいいのよ、とのこと。ほんとにガムだ。
そして集会場へ行く道すがら、ウェイバー公に先程おばさんに聞かされた話をして「可愛そうだからなにかいい方法はないか」と言った旨の話をしたアンサーが冒頭の一言
「親方様になって初めて挨拶にしにいったときに一緒に聞きましたね。いや、あれはその連絡を聞きに行くついでに挨拶にいったんだったっか?」
「どっちでもいいじゃないか。泊まり込み管理人は管理がなぁなぁになりやすいいし負担も大きいってことで、今は漁の際に監督者を決めて監督者が漁場を見回ったり事故防止をすることと緊急時の避難場所の用意、あと問題が起きたり連絡事項を言い渡す代表の任命の3つが漁場維持の条件になってるよ。まぁ泊まり込みでやって悪いなんてことはないけどね」
「うちの漁場では漁をやる連中で組合を作って監督や代表を持ち回りでやってますが、避難場所が倉庫なんですよね。あれっていいんですか?」
「寝泊まりできて病人やけが人を収容できるならどこでもいいよ。こっちは医者の家の牛舎の二階だからな」
二人はそんな話をしながら、もう一人の女の顔を見た。
何も言わない。ただ顔は「どうなってるんだ?族長さんよ」というニュアンスが出ている。
エルフの族長は言い訳を考えていたが
「下のものと相談してみます」
と一言。言い訳の余地がなかったようだ。
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