35 ドワーフの凄さ。エルフの凄さ

ドワーフというのは凄い生き物だ。

何をいまさら、と言われそうだが実際に見るとそう思う。人の駆け足より少し早い程度の牛車と同じ速度とはいえ、森の間に切り開かれた碌に舗装もされてない道を数キロも走って誰一人として汗の一つもかいていない。後ろについてきた奥様二人もそうなのだ。

むしろ牛車に乗っていた人間たちの方が振動でやつれている始末。

ドワーフ領に向かって事情を伝えに言った奥さんは、この二倍のスピードは出ていただろう。

人間離れしている。というか人間じゃない。いやまぁ人間じゃないから当然と言えばそうなんだが。

「そこの一群、止まってくれ」

先ほどのエルフと同じような恰好、ただしこちらは服に赤い染色がしてある、の二人組が止めた。

「すまないが、子供をみなかったか。金色の長髪。耳長。白いワンピースを着た子だ」

「こっちの道沿いでは見てないな。その話を聞いて手伝おうと思ってきたんだ」

「あぁ、狩りの日だったな。すまない。なら集会場の方に向かってくれないか。そこで指揮してるから」

そういって二人は森の中へ消えていった。

動きからして身軽。人間離れしてる。

「この辺の森は深いからな。森に慣れた連中でもちょっと気を抜くと迷っちまうから何処の餓鬼にも道から外れるなって言いつけてある。その子も妙なところに入り込んでなきゃいいんだが」

ドワーフのおじさんの一人が僕に対してそんなことを言ったが返事をする気力などない。

ケツが痛い。ホントにケツが痛いんだ。もう少しどうにかならんのかねこれ。


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