29 狩りにいく道
「今日はよろしくお願いします」
「そこまで硬くならなくていいよ」
屋敷の外れで誘ってくれたおじさんを見つけて挨拶をする。
僕が村の方に行くよりこっちから行ったほうが早い、と迎えに来てくれたのだ。
「みんな。彼が豚小屋で働いてる子だよ」
「久しぶりだね。よろしく」
「あぁ異世界から来たっていう」
「前あったな。覚えてないかい?おじさんに衛兵の所に連れていかれてた時さ」
私の自己紹介の後に、そんな感じで数人の男が自己紹介してくれた。
年齢は大体豚小屋のおじさんと同じくらい、一番の若者は僕。顔を知ってる人もいれば知らない人もいるがみんな僕のことはわかってる。
田舎だから話題がない。娯楽もない。そういう土地じゃよそ者はいい話題のネタ。
「じゃぁ行こう。乗りな」
一人の男がそういって牛舎の荷台を差した。
この界隈では貴族様から下っ端までこれだ。僕も初日に乗った。
「弓は?」
荷台に乗って運搬されている最中、一人の男がそう聞いてきた。
「え、使ったことはないです」
とにかく尻が痛い。サスペンションなどという概念はないのか、どう考えても長距離向けの車ではない。
「これをケツの下に挟みな。多少良くなる」
ほかのおじさんがそういって布切れを来るんだものをくれた。確かに多少良くなったが、それでも痛いものは痛い。
「弓は使ったことはないか。魔法が使えるわけでもないんだろ?ならドワーフと一緒に追い込みの役をやってもらおうかな。今回はエルフ領とドワーフ領の間でやるから、三種族合同なんだ」
「ドワーフ、初めてみます」
「荒っぽい連中だが取って食いやしないよ」
そういって彼らは笑った。
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