32 寿命

「ドワーフは長生きな人だと、君らの数えで150年くらい生きるって言われてるかな。40位でやっと一人前さ」

僕の質問にエッダがそう答えた。

「人間の寿命が100年と考えれば大体1,5倍だから、まぁ20歳後半くらいって感覚でいいんでしょうか?」

「考えたことがないからわかんねぇな」

エッダはそういって一人が入れてくれたお茶を飲んだ。

入れてくれたのはドワーフのおばさんたち。


村のイベントだといって出て行った旦那が昼前から道端で酒臭い格好寝てた。と近所の奥さんから聞けば大体何が起きたか察しがつくのがドワーフ族の良妻という物。

彼女たちは自分の母に教わったドワーフの良妻の心得に従い、道端に寝てる旦那をたたき起こして(髯で隠れてるが旦那の顔に青あざを二つほどつける嫁さんは相当な手練れだ)連れてくるついでに謝罪の差し入れということでこのお茶が皆に振舞われた。

なんでも果物の葉っぱを使うらしい。独特な匂いがして僕はあまり好きじゃない。この風味はドワーフでも好き嫌いがわかれるのだそうだが、これは長生きの薬みたいな物だからと言ってみんな飲んでる。


「そうは言っても坊ちゃん。ドワーフでも150まで生きる奴なんてそうそういませんぜ。普通は長生きしても130位がせいぜいでしょう。」

「でも公国のドワーフの長は200年生きたって話じゃないか」

「あれはうちの村にみたいにまじめに数えてないだけじゃないかしら?王国の長なんかみんな200歳300歳超えよ」

「食べる物もそこまで変わらないってのに、50年も100年も寿命が変わるなんてことはないよなぁ」

「都会だと20で一人前だって」

「ありゃ人間に合わせてるだけだよ」

しかし異論反論はあるようだ。

「皆さん異論反論があるようで」

「ドワーフは人間と比べて寿命とか年齢をあまり気にしないんだよ。気にするのはだれだれより先に生まれた後に生まれた、誰の子で誰の親かってことさ。人間の数え年はほかの種族と会うときとか何かを記録する時に便利だから使ってるけど、そこまで厳密にみんな記憶してるってわけでもねぇんだな」

「へぇ。それじゃぁエルフってのもそんな感じなんですか」

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