6話 まずは役所に申請を

「えっと、その、はい。こういった場合は」

「どうするんですか?」

「はい。えぇ」

衛兵の詰所の中は交番ぽい内装だった。

そう。交番。机があって椅子があって書類の束があるあの感じ。

「とりあえず、あった、この書類です。書いていただけますか?」

「はぁ」

渡された書類を見たが、何が書いてあるのかわからない。

多分地球の言語ではないはずだ。

「文字が読めないんですが、そこは気合でどうにかする感じですか?」

「え、あ、そうですか」

衛兵は首を傾げながらそう答えた。

当然じゃないのか?

「話によると大体の人はなぜか言葉がわかるって聞いたのですが、まぁそういうこともあるでしょうね。私が代筆しますから、質問に答えてください。あとから拇印をいただいます」

「はぁ。わかりました。ただ私としても色々説明していただきたいのですが」

「とりあえずこの書類できてからでいいですか」

異存はない。お役所というのはすくなくとも人を取って食うことはないし。基本的には。

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