9話 君には3つの選択肢がある
「君の世界に帰るにしても、この世界で生活するにしても、当分の生活というものがあるだろう?なにか当てはあるのかい?」
「そうですね。当てはないが3つほど考えはあります」
「へぇ。聞こうか」
正直なんもなかったが適当に思いついた話をあげていく。
「まず一つに、どっか国か金持ちに頼み込んで援助してもらう。どっかにそういう援助もあるでしょ?と。ただそういう感じじゃないようですね」
「首都の教会などが家がないものや貧民に炊き出しすることはありますし貧民への支援もありますが、異世界人だからって優遇することはないですね」
「そこまで落ちぶれたくはないなので、もう一つ。なにか商売でも始める。元手を出してくれる人を見つけるなり稼ぐなりして、こっちで人を雇って土地と店を買って、ただそういう才覚があるとは思えないし失敗する例も多いって」
「まぁ商売なんてそんなもんだ」
「そうなると最後の一つ」
これが一番現実的だろう。
「どっかで雇ってもらう。家も服もないので衣食住付きの住み込みか日雇いか、こういうのは身分姓名の証明できないと雇ってもらうのは難しいと思うんですが、さっきの書類ってそういうのを証明してくれるものじゃないんですか?」
「そういう使い方をする?していいのかな?聞いたことないけれど」
衛兵はそういって書類棚に向かいました。
マニュアルの確認です。こういうところがお役所仕事。
「まぁ使えるかわかりませんけど、現実的、実現可能、安全、そういった考え方をするのであればそれがベストだと思うんですよ。衣食住が賄える程度にまじめに働く。異世界来て能力があるかもしれないからと欲を出さないで病気になったときに医者にかかれる程度の裕福さを目指す」
「普通そういった身の証は親や地域の有力者、前いた所の紹介なんかでやるものだが、君の考えは割といいところついてると思うよ。ただ」
「わかりますよ。すごく。まずどこで働くか、誰が身元も怪しい男を雇ってくれるかって事でしょう。それが問題。そういう選択ができないから、みんな商売を始めるんでしょうね。仕事がなきゃ自分が始めるしかない。余所者は愛されませんね。どこでも」
「わかってるじゃないか」
ウェイバー伯爵はまたわらう。
それを見て一つ思った。
「雇ってもらえません?なにかの縁ってことで」
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