38 私が考えたこと

「すいません」

僕はそう言って集会場の中に入った。

エッダとエルフの族長がつめてなにか話している。

「なんでしょうか?」

「その地図、すこし貸してもらえませんか」

「それはこまる。必要ならここで見ていってくれ」

エッダにそう言われたので指示に従う。

彼女の家が、どれだろう、縮尺がいい加減でよくわからない。まぁこの集落の中だろう。

そして、彼女のおばの家がちょうどエッダが出してもらったお茶のカップがおいてあるところの横らしい。奥様たちから聞き出しておいた。

そして2つをつなぐ道。おばの家は元々漁師(川で魚をとって商売をしていたらしい)だから川沿いから少し高いところ。道は、人間基準で言えば険しいがエルフなら子供で楽に行ける程度だという。これも聞いた。


話を聞くに、どう考えても親の言いつけを無視して遊びにいくような子供ではない。

そういう子でも家出かなにかで逃げ出すことはあるだろうけど、それにしても急に消えることはないだろう。前兆があるはず。

そういう訳でだからみんな人さらいにさらわれた。思いもよらない場所に迷いこんだという前提で動いてる。

でも、もっと身近なことだってあるだろう。

足をくじいた。転んでこけた。崖から落ちた。

猿も木から落ちるというし、エルフだってどこかで転ぶことはあるだろう。


「すこしでかけてきます」

「おい、土地勘がない奴がうろうろすると迷うぞ。なにか考えがあるのか」

エッダに止められた。

「いえ、女の子が今日行き来した道をたどろうかなと」

「最初に探しましたが」

「それで範囲を広げた。でも見つからないってことは、意外と遠くか意外と近くにいるってことじゃありませんか。それでみんな意外と遠くを探してますから、私は意外と近くを探してみようかと」

エッダと族長は私の言葉になにか考えている。

ただしいのか、間違っているのか、探ってるんだろうか?

「探し物なんて大概そうじゃありませんか。探しても見つからないのは、なぜそんな所にという場所にある。そこで見つからないならなんで見つけられなかったんだろうってところにある」

「それもそうか。俺がついて行こう。二度目はその程度で十分だろう」

エッダはそういって立ち上がった。

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