反省して顔を洗ってきたドワーフの集団が戻ってきた。

さっきとメンツが変わってるが「顔をあらったらすっきりしたのか寝ちまったんで代わりを連れてきやした!!」という威勢がいい返事。エッダもあきれて怒る気力もないらしい。

確かにこれじゃどうにも頭を悩ませたくもなるよな。

そしてもう一組、エルフ達がこちらに向かってるはずだが予定より遅れているとのこと。

何をするにも律儀なエルフにしては珍しいこと、と皆が言ってるが気にする様子もない。ここは田舎だ。多少遅れようが気にする奴はいないし、あまりに来なけりゃ「なんかあったのかねぇ？」と勝手に始めてしまう。そういう気風だということはなんとなくわかってきた。

そういったわけで、予定外の空き時間。気になったがいままで聞きそびれていたことをいくつか聞く。この辺の地理であったり、お金の単位、買い物をするならはどこがいいか。

下着や服全般ならエルフ領に行けばいい店や洒落た店があるから都会からも買いに来るやつがいる。ただあそこは一つ一つ手作りだから全体的に高い。俺たち庶民は祭礼用の服か、せいぜい下着くらいしか買えない。女共は下着やそういった服に金を出すからよくエルフ領の方に行く。

ドワーフ領は安価ながら剛健で長持ちなのが売りだ。だから人間の農民や労働者にも人気、服にうるさいエルフでも野外で動く猟師や軍人なんかは買いに来ていいものだと喜んでる。ただ着心地はゴワゴワしてるし革のように硬いしで全く良くない。下着も同じだからドワーフすら買わないし最近じゃ作りもしない。あれはもうすこしどうにかならないのかね。ドワーフだって同じ事思ってるよ。

人間領の服屋は安いなりに着心地がいいからエルフやドワーフにも人気だ。ただドワーフのサイズに合うのがなかなか見つからないから困ってる。今度人間の仕立て屋に一つ頼んでみるつもりだから、具合が良ければみなでまとめて発注してみないか？

飯屋？それならそれぞれの村にいいところわるいところがある。お前さんの一番近くってなら伯爵様のところの食堂がおすすめだな。確かにウェイバー伯爵家の食堂は質素ながらいつも美味しくていいよな。ちょっとした用事だの商売で行った客でも昼飯時になると食堂で食べさせてくれるんだ。貴族様らしくないじゃないか。それがいいんだろ？出入りのドワーフにも飯食わせてくれる貴族様なんて他にはいないぜ。おやつ？それを語らせると三種族で戦争になるぞ。

そんな話を笑いながら教えてくれた。みな話題となる新参者は好きなのだ。それに今更あえて情報交換をしなくてはならないような新しい話題があるわけじゃないらしい。

そして話はなぜか寿命の方に転がっていった。