14 豚小屋で餌やり→役場仕事→掃除
「どうかしら」
「最高です。俺が住んでた部屋より良い」
あながち冗談じゃない。
倉庫の二階に増築されたロフト、諸々の荷物が積まれている中の一角にベットと人が生活できる程度のスペース。そして窓。
便所は外。風呂はないが、外の井戸水は清潔だからそれで洗いなさいといった指示。
布団とシーツはあとから運び込んでくれるそうだ。
しかし
「こういう秘密基地みたいなスペースは、ハックション」
くしゃみ。
「これから、ハクション、やることってありませんでしたよね?」
「えぇもう時間が時間だし、あなたも異世界に一人飛ばされて、豚小屋の掃除とかお役所仕事とか疲れたでしょ?夕飯のときに誰かに呼ばせるから、それまで休んでるといいわ」
「それじゃぁ一つお借りしたいものがあるのですが」
夕刻。具体的には日が落ちる寸前。
「そろそろ仕事を切り上げるぞ。今日は晩飯は家で食べる日だな」
「ありがとうございます」
「家で土を落としてからきなさい。掃除が大変なんだよ」
「よくよく言い聞かせておきますので、どうかご了承を」
畑の開梱と植え付けで手伝いに来た農民などに指示を出していた親方様と執事は農民の代表にそう声をかけた。
親方様の開墾や新規事業はこの辺じゃ珍しい現金収入、それに週に何回か飯もついてくるので食費の削減にもなる。
やってることはいつもと同じ農作業だから慣れたもの、むしろしっかりと親方様が管理してくれるから働きすぎることもない。
払いすぎる事はなく、安いと文句を言われない程度の賃金。そういった人の扱いが絶妙にうまいのがウェイバー様の手腕。
「そういえば彼はどうなった。異世界から来た彼さ」
「城の雑務の仕事とあと豚小屋の方を手伝わせようかなと思ってます。まずは見知った相手に手ほどきを受けたほうが良いでしょう。それに小屋の管理人も悪い印象は持ってないみたいですし」
「良いね。まぁ当分は様子見かな、今はどうしてる?」
「物置小屋の二階で掃除してます。ホコリ臭いからって雑巾とバケツ借りて」
それを聞いた親方様、呆れたように笑って。
「小市民ってやつだな」
と一言。
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