25 まとめて貰っても困る
ウェイバー庄界隈では給料は週払いか日払いが普通なのだそうな。
理由は一カ月ごとに大金をもらっても庶民には預ける場所がないから困るからだ。
まずこの世界には銀行というのがない。都会なら商会に投資や運用という形で渡し、証券や株式、国債にかえると言った手がある。
もし信頼できないなら貴金属や高額な金貨に買えて床下に入れておく手もあるが、ここみたいな田舎では親方様のような貴族や豪商、あと村の集会所に二月か三ヶ月に一回御用聞き(遠隔地の顧客にサービスを提供する営業マンだ。行商かと思ったがそれとは違うらしい)が来て資金の受け渡しや預かりをする以外はそんなものはない。
そういう都合があるので雇い主も一気に大金は出せない。
日用品を買うにしても保管技術が発達していないから買い溜めということができない。なので毎日か、せいぜい3日もしたら買い物に行くしかない。
首を切るにもやめるにも細かな規制はないので、週払いのような短い間隔の方が両者にとって都合がいいというのもある。
だからそれに合わせて家賃や各種取り立ても週ごとに行われるのだとか。
なぜそんな話をしたかといえば、僕はその例外、雇われた日が中途半端だったのと手続きで時間がかかったということで、最初の給料を月払いとしてもらったからだ。
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