1⑧ 食事

食堂に併設された台所、そこの端っこにある休憩スペース

そこに椅子をみっつ並べて、料理長とメイド、そして私の食事が始まった。

「毎日夕食は料理人以外はそこの食堂で同時に食べる事になってるが、朝食は開始時間がバラバラだから部門ごとだったり個人で食べるんだ。朝の10の鐘がなるまではいつ来ても朝食が食べられるようになってるから、当番の料理人にいいな。火を入れてくれる」

「私のイメージですが、貴族の家族と使用人って普通別じゃありませんか?」

今日の朝食は芋や玉ねぎや豆、あと細切れの豚をよく煮込んだ具だくさんのスープと、酸っぱいパン。そして渋いお茶らしき飲み物。

正確にはこの世界の葉っぱを煮出したもの、らしいが名前が良く分からなかった。

味は良い。かなり濃厚な味で人によっては朝から食べるのは無理というだろうが、個人的には気に入った。

それを食べながらの雑談。というより今後どうしたらいいのかという質問。


「他の所だと大体そうですね。もっと使用人とご主人様の身分は分かれています」

メイドがそう相槌を打ってくれた。

彼女が2年ほど色々な場所を転々としてここにたどり着いたのだとか。歳は16ということ。

ということは14から働いていたのか。児童労働万歳だな。

「親方様、というよりもウェイバー庄が変わってるんだ。戦中の気風が残ってるから階級や身分を気にしない人が多いし、親方様が都会の貴族との交流より人を使って畑の豚の数を増やす方が好きというお方だからな」

「ですから、身分で分けて食事の時間を長くとるよりも、みんなで同じものを一斉に食べてさっさと終わらせてしまう方がいいって考えているんです」

なるほど

「みんなまとめて料理を作れば料理人の手間が省けますし、薪の量も減るってことですね。あと食事の時間が短くなればろうそく代も節約できる」

壁に差してあるろうそくを思い出しながらそう答えた。

「そうさ。朝飯もコーヒーを飲むこと以外は俺たちと一緒なんだぜ。変わった親方様だよ」

「そういう所がいいじゃないですか。むやみやたらと威張らなくても偉そうって人はなかなかいませんよ」

16歳のメイドはなかなか達観した事を言う。

そんなことを思いながら酸っぱいパンをスープに浸して食べたら、それは子供の食べ方だからやめなさいと二人にいわれた。

しらないよ。そんなこと。

僕はここじゃ16歳以下なんだ。

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