第6話ネフィリムの少女と・・・・・・

「あなた、ネフィリムよね?」


「……分かってたなら、聞くんじゃねえよ。この魔女が。」


  ネフィリム。

 古代神話において、悪事を目論む天使が人間の女性に恋をしたことがあった。

 二人は愛し合い、やがて、その間に子供が生まれたのだ。

 半神半人の、人を超えた、怪物が。

 彼らは異様な姿を持ち、超人的な能力を持っていたとされる。


「あら、やっぱりそうなのね。」


 自分の質問に曲がりながらも答えた少女を見ながら、女は言った。


「それにしても、変だわ?あなたが私に負けたりはしないはず

 なんだけどな? まあ、いいか」


 女はどうでもいいというように、


「どうして、あなたみたいな過去の遺物がいまだに生き延びているのかしらないけど、相手が悪かったわね、」

「本題に入れよ。」


 ネルが業を煮やして、魔女に言った。


「なんで、殺さない? 」

「……」

「あんたの目的は、他にあったはずだろ? それがどうしてこんなとこで

 どうでもいいこと駄弁ってるんだ? 」

「……知らないの?」

「何をだよ! いい加減にしろよ、お前!! いいから早くアタシをうちに帰らせろ!! アイツが来てたら、どうすんだよ」

「誰よ、あいつって? そんなことどうでもいいのよ。あなた」


 少し間をおいて、女はネルに言った。


「死ねないのよ?」




 ♦ ミツル


「格闘ゲーム」は、いうなればデスゲームだ。

 殺し殺すも、強者の自由。

 武器は使用可で、闘技場においてあるものならばどれだろうと使っていいそうだ。

 闘技場には、見るからに強そうな獣人やヒト型の魔物が控えている。

 まさに、

 物部 三鶴にとって、うってつけの場所だった。

 なんだ、

 そんな無感情なことを考えて、三鶴は安心した。


 ルールは単純だった。

 会場にいる奴ら全員倒せば、勝ち。

 ざっとみて、50人とすこし……

「それでは! ゲーム開始まで3,2,1……」

 ゼロッ!!!

 試合が始まった。


「ひゃっはああああ!!!!!!!」

 豚の頭をした、体格さは3倍になろうかというような獣人が襲ってきた。

 どれ、少し試してみたかったんだ。

 自分の、明らかに以前より強靭になった腕を振り上げて、、



「……ぇ?」

血が、ぼたぼたと流れ出る。

 獣人の頭は、首から下がきれいに離れていた。

 ザワザワ・・・・ギャラリーが騒いでいる。


 所々から、「あいつ、やばいぞ……!」、「優勝候補を、殺しやがったあ!」、「初登場?、なんだミツルって」


 元々、喧嘩して負けたことなんて無かったが、なんだ?、この力は?

 その光景を見た他の魔物たちが一斉にこっちに向かってきた。

「うお……! 」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 時は進んで。

 会場内は静まり返っていた。

 辺りに散乱した誰のものかも分からない血肉。

 まるで、血の海のようになっている闘技場の中で、

 たった一人、屍のように立っている男がいた。

 その表情はまるで、人間性を失ったようにも思える。


「しょ、勝者! ミツル~~!!!!!!」

 会場は優勝者を呼ぶ声に、やっと歓声を上げた。


「なんだ、あいつは……?」

 会場の様子を覗いていた、初老の男が呟く。

「まるで」

 男は、遥か昔をミツルに見た。


「悪魔じゃねえか……!」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る