概要
病弱な異母兄・世子とのどこかぎこちない関係、自分にまとわりつく評判、宙ぶらりんの身分、遠慮がちで窮屈な後宮での暮らし――そんなものから逃れるように、彼は都のお忍び歩きを楽しんでいた。
しかしある日、最強の武官見習い・劉星衛(りゅうせいえい)が彼の行く手を阻み……?
若き「暴れん坊公子」と「かさばった武官」の凸凹青春道中記。「涼国賢妃伝 ~路傍の花でも、花は花~」(『王妃さまのご衣裳係 路傍の花は後宮に咲く』8月刊行予定)の外伝ですが、独立した作品として、もしくはこちらを先に読むこともできます。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ジャンルみて驚いた 異世界ものだったのか。笑 すっごいリアリティ
ほんと初めてこういった中国史なお話読んだんですよ。
今までまったく食指が向いてなかったので、本当に初チャレンジ的な。
えぇえぇ 頭悪いんですー。
第一、元々ラブコメ恋愛ジャンキーなんですー。
歴史もんや伝記もんや専門用語バリッバリの堅ーい文章は目が拒否するんだもん。はん
けどね
なんだこりゃっすよ
これがまたおもしろい!!
細やかなディテール
やり過ぎない卓越した演出センス
映像が次々と目に浮かんでくるほどに表現力豊かな語彙力
まったく飽きさせないストーリィ
びっくりっす。
敵わねーなぁこりゃって素直に思った。
これがほんものの書き手ってやつです。
そしてそれらはすべて
作者さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そして今夜も、彼ら(桂舜・劉星衛)に逢いたくなる…
異世界ファンタジー小説というものは、その世界観を表現するのに、こちらの世界では使わない言葉を書き連ねるものという思い込みを、この『流れる星は暁に抱かれ』は軽く打ち破ってくれた。読み進めていくうちに、「それもそうだなあ、異世界ファンタジー小説といえども、登場人物たちは、こちらの世界に住む自分たちと同じように、温かい血が流れていて、喜びを喜びと思い、悲しみを悲しみと思う人間なのだから」と、気づかされる。
読者を飽きさせない展開が次々と繰り広げられ、そのエピソードの1つ1つがたとえその結末は悲しいものであっても、なぜか、読者の心は、爽やかな読後感に包まれる。それは、作者の心の中に、温かい他…続きを読む - ★★★ Excellent!!!型破り公子がゆく! 都を駆け、剣を振るい、酒肴に語らい、大人になる
涼国の若き公子、桂舜は、宮廷での窮屈な日常を厭い、
夜闇に紛れて逃げ出しては酒場街をうろうろしている。
この文武両道で優秀なはずの公子の困ったふるまいに、
父たる王はきわめて強烈な妙案を思い付き、実行した。
これこそが、暴れん坊将軍ならぬ「暴れん坊主上」と、
かさばった武官あらため「ガンダム」の出会いである。
「何のこっちゃ?」と興味をひかれた読者の皆さんは、
ぜひとも『涼国賢妃伝』シリーズをお手に取られたい。
若かりし日の桂舜と劉星衛の出会いを巡るエピソード。
王の血を引く異母兄妹との情愛とその身分ゆえの葛藤。
権門が幅を利かせて、王家といえど盤石ではない国情。
厳寒の国境の砦で経験し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読み終わったら、空を見上げずにいられない。
普段宮廷から一歩も外に出ない天上人たちは
一般市民の暮らしが見たくなるものなのです。
八代将軍しかり、ローマの休日のアン王女しかり。
もちろん『涼国賢妃伝』の主上の若き日、桂舜公子も。
お忍びで自分を隠して、自分の目で見たくなる。
すると、必ず波乱が起きます。
時に護衛が酷い目に遭わされてしまうことも。号泣。
特に胸を打つのは
冬の夜空の下、劉星衛と心を交わす回、
妹明楽が銀の牡丹を置いて別れを告げる回、
体の弱い兄の世子と布団を並べて言葉を交わす回。
心にいつまでも残る名シーンの数々です。
彼がいつしか自分で国を治める日に
この日々が思い出され、良い判断をしてくれますように。
是非、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ほろ苦く甘い成長物語を起点に、涼国の世界へ……。
長編『涼国賢妃伝』につながっていく物語なのですが、『涼国』未読、あるいは、この作者の作品自体初めてという方にも、是非お薦めしたいお話です。
後に涼国の王となる桂舜の公子時代のお話です。
当然、時系列としては、『涼国』よりも前になります。
なので、こちらを先に読んでなんら問題ありませんし、『涼国』より短いので初めての方にもお薦めしやすいように思います。
(『涼国』で王様になった姿を知らない状態で読むのも、また面白そう……)
私は、作者の描く「成長物語」がとても好きです。
中華風ファンタジーなので後宮や朝廷の地位の高い人が登場人物の中心になるのですが、彼らが「その地位」を得るまでの苦労、また…続きを読む - ★★★ Excellent!!!切なさの残る読後感が心地良い
後宮暮らしに窮屈さを感じている主人公の桂舜(けいしゅん)が、主上となるまでの成長譚。
可愛がってきた妹の婚姻、少し距離を置いてきた兄との愛情と別れ、頼もしい武官との信頼、などを通して桂舜は成長していく。
イベントが適度に続き、時代劇風ストーリーがテンポ良く進むので読者を飽きさせない。
やや不遇だった主人公が主上となる大団円だが、いくらかの切なさも残る読後感が心地良い。
中華作品特有の語彙が注意深く置かれ、また、権力闘争のような政治や活劇のテイストもサラッと入っている。
なので、中華モノに馴染みのない方が最初に触れるには良い塩梅の作品となっている。
六万字未満の中編なので…続きを読む