切なさの残る読後感が心地良い

 後宮暮らしに窮屈さを感じている主人公の桂舜(けいしゅん)が、主上となるまでの成長譚。
 可愛がってきた妹の婚姻、少し距離を置いてきた兄との愛情と別れ、頼もしい武官との信頼、などを通して桂舜は成長していく。
 
 イベントが適度に続き、時代劇風ストーリーがテンポ良く進むので読者を飽きさせない。
 やや不遇だった主人公が主上となる大団円だが、いくらかの切なさも残る読後感が心地良い。

 中華作品特有の語彙が注意深く置かれ、また、権力闘争のような政治や活劇のテイストもサラッと入っている。
 なので、中華モノに馴染みのない方が最初に触れるには良い塩梅の作品となっている。

 六万字未満の中編なので負担にならず、もっと読みたいと思わせてくれる盛りだくさんの内容なので、是非、一読していただきたい作品です。

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