そして今夜も、彼ら(桂舜・劉星衛)に逢いたくなる…

 異世界ファンタジー小説というものは、その世界観を表現するのに、こちらの世界では使わない言葉を書き連ねるものという思い込みを、この『流れる星は暁に抱かれ』は軽く打ち破ってくれた。読み進めていくうちに、「それもそうだなあ、異世界ファンタジー小説といえども、登場人物たちは、こちらの世界に住む自分たちと同じように、温かい血が流れていて、喜びを喜びと思い、悲しみを悲しみと思う人間なのだから」と、気づかされる。


 読者を飽きさせない展開が次々と繰り広げられ、そのエピソードの1つ1つがたとえその結末は悲しいものであっても、なぜか、読者の心は、爽やかな読後感に包まれる。それは、作者の心の中に、温かい他者への思いやりと、人は常に成長していくものだという確信があるからだろう。


 …ということで、『流れる星は暁に抱かれ』を読んでいる間、私は、「そして今夜も、彼ら(桂舜・劉星衛)に逢いたくなる…」状態だったのだけど、読了後もその思いを止めることは難しく、『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』で、また彼らと逢います!
 

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