概要
2028年東京、そこは神道系呪術教団と公安警察特殊部隊が日々抗争を繰り広げる魔都だった。
法では裁けぬ呪術犯罪に立ち向かうべく組織された公安は、決して人に知られる事なく教団の拠点と構成員を葬り去って行く。
銃には呪いの弾を、
手榴弾には召喚術式を。
そんな近代化された”現代呪術戦”の戦場に身を投じる一人の公安警官がいた。かつて娘を不慮の事故で失った男は、呪術戦の果てにいつか彼女と再会する日を夢見て戦場をひた走る。
そしてある任務の果て、遂にその時は訪れた。
植物の異形と化した娘と再会した瞬間、人生の歯車は再び動き出す。
「全部パパが殺してやるからな」
裏切れ、殺せ、命を削れ。
全ては人でさえなくなったただ一人の愛する娘のために。古来より伝わる神
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!それは呪いか、否、願いである——
呪術とロボ、その一見相反するようでいて、見事に融合しあい、そして神話へと昇華していくスケールの大きい背景。
対して、凝縮してまとめられた親と娘の小さくささやかな世界。
ダークでハード、そしてハートを撃ち貫かれる物語である。
もちろん、相反するだなんて最初から思ってはいない。
古来、呪(まじな)いには、人形(ひとがた)が用いられてきた。
人としての形をし、四肢を有し、操る者の意を汲み、想いに応える。
ロボットが人型たりえる親和性、神話に見出すことは容易であろう。
だが、そこを軽々しく設定として論じることは出来ない。
ロボットという硬質なモノに、暗く、湿り気を帯びた、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!至近未来東京。見上げればそこに槐兵が「いる」リアル。
カルト教団と公安警察が人知れず呪術戦を繰り広げる、舞台は至近未来の東京。
現代伝奇作品でありながら、古くは日本神話にも遡るオカルトパンクーーしかし最終的にロボット作品としての熱い文脈を外さない、どうにも絶妙なラインを渡る作風がとにかく読ませる作品。
読み進めれば進めるほどに作者の呪術知識や神話解釈が作品に上手く溶け込んでいる様に唸らされ、最終的にそれが主人公の登場する「呪操槐兵」を魅せる舞台装置として機能している演出の巧さが各所に光る。今まで見たことのない作風にも関わらず、槐兵同士が巨大ビル郡の狭間でしのぎを削り合う様が容易に脳裏に浮かんでくる。
幾ら呪いで身が蝕まれようとも、愛する…続きを読む - ★★★ Excellent!!!SFロボット+現代呪術+ストイックダークヒーロー=昇天!
まず初めに、よくここまでSFロボットと呪術を上手く融合させたなぁと思います。
今作における『呪操槐兵』というロボットが何故人型しているのか、それは呪い人形を拡大解釈させた物だからとか。ロボットによくある武装が呪術道具に因んでいて、それでいて違和感を感じさせないとか。こういった設定を書くなんて本当に凄いとしか言いようがないです……。
そして人に見えないロボット戦というのもユニークで、人目に晒されながら戦う物とは一味違った緊迫感が感じられる。これもまた単なる設定だけに留まらず、今作における重要なキーパーソンになっているのもまた見事。
褒めているだけになってしまってますが、もうそれが言えませ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現代呪術戦の看板に偽りなし……!
古式ゆかしく呪術とは、すなわち呪い、祓い、身を雪ぎ、穢すという行為によって成り立つものだ。
わかりやすく言えば、藁人形と釘がなければ丑の刻参りはできないということである。
呪術には手順が必要で、それがときに儀式と呼ばれるものである。
この作品はそれを、見事に現代の形に昇華している。
式神を放つには銃弾を射ればいいというのは、これ以上なくわかりやす縁の結び方だ。
何より見どころなのは、木製の巨大ロボット──槐兵だ。
軽量級でありながら、その迫力はすさまじく、作者の筆力もあって脳内ではとんでもない戦闘シーンが再現される。
加えて、作品のテーマの一つに樹というものがある。
樹木とは歳を経…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どこまでも呪われた、それでいて暖かい愛
呪術と巨大ロボット。
それはある意味相性が良く、そして難しい。
ロボットという人を超えた力を様式美をもって支配する流れが
魔術に似ていると仰った方がいますが。
それを成しえる為にはしっかりとした考察が必要で気軽に
纏められるものではない。
けれど本作はそれを成しえている。特にep6「見えざる純黒」
ここでロボット物としてのエンジュの魅力が開花するのだ。
それまで積み重ねた現代伝奇と特殊部隊を掛け合わせた
流れの枝葉にロボという華が咲くのだ。
そして、物語は結末に至った。そこにあるのは大筋としては
多くの人が想像した可能性の一つ。けれど呪というテーマをもって
描かれたこの終わり、あ…続きを読む