それは呪いか、否、願いである——

 呪術とロボ、その一見相反するようでいて、見事に融合しあい、そして神話へと昇華していくスケールの大きい背景。
 対して、凝縮してまとめられた親と娘の小さくささやかな世界。

 ダークでハード、そしてハートを撃ち貫かれる物語である。

 もちろん、相反するだなんて最初から思ってはいない。

 古来、呪(まじな)いには、人形(ひとがた)が用いられてきた。
 人としての形をし、四肢を有し、操る者の意を汲み、想いに応える。

 ロボットが人型たりえる親和性、神話に見出すことは容易であろう。

 だが、そこを軽々しく設定として論じることは出来ない。
 ロボットという硬質なモノに、暗く、湿り気を帯びた、人の念を緻密に描写していった作者のエネルギーを感じ取れるからだ。

 悲壮感漂う情念、それを代弁して熱くぶつかり合うロボ達。

 た・ぎ・る・わぁ~・・・・・・っっと、失礼。

 非常に、カタルシスを得られる。

 結末は、呪い、願い、その果て、人知れず咲く華のようなひとひらの救い。
 この愛すべき物語に、呪をかけられた、私もその一人である。

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