それを、恋と呼ぶのならば

 ――――硬質。
 ストーリーの軽快なテンポ、伏線の破綻の無さ、その整合性。
 非常に読みやすい地の文から得られる安定感とは裏腹に、登場人物、ことメインキャラクターへのこの硬い違和感はなんだろう、と。

 ――――人形。
 優れた能力、台詞を読まされているかのような口調。
 リアルな人物描写が不得手なのだろうか、設定を盛った特徴付けを行ったキャラクター小説を目指したのだろうか。

 ――否。
 ――――否である。

 読後、迫りくるこの哀愁をして。
 物語終盤の展開には、確かなカタルシスがある。
 私は、解き明かされる謎と共に、人形に血が通い人間に成る物語を読まされていたのだと理解したわけだが。
 理解ではなく『溶解』というべきだろう。
 凍える寒さの冬の、慟哭のように吹き荒ぶ『ユキ』を溶かす温かさだ。

 ――――それを、恋と呼ぶのならば。

 造り主=親によって、壊され、ひび割れて、人形のままなら決して直ることのないパーツを抱えたまま、完成することの出来ない無くしてしまったパズルのピースを探して、埋め合わせていく小さな、先のない絶望の果て。

 手を繋ぎ、歩を合わせ、人形の瞳も輝き、世界を照らすのならば。



 やはり、それを恋と呼ぼう。