槐神霊装伝エンジュ (#槐エンジュ)【完結済】

作者 鉄機 装撃郎

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★★★ Excellent!!!

 呪術とロボ、その一見相反するようでいて、見事に融合しあい、そして神話へと昇華していくスケールの大きい背景。
 対して、凝縮してまとめられた親と娘の小さくささやかな世界。

 ダークでハード、そしてハートを撃ち貫かれる物語である。

 もちろん、相反するだなんて最初から思ってはいない。

 古来、呪(まじな)いには、人形(ひとがた)が用いられてきた。
 人としての形をし、四肢を有し、操る者の意を汲み、想いに応える。

 ロボットが人型たりえる親和性、神話に見出すことは容易であろう。

 だが、そこを軽々しく設定として論じることは出来ない。
 ロボットという硬質なモノに、暗く、湿り気を帯びた、人の念を緻密に描写していった作者のエネルギーを感じ取れるからだ。

 悲壮感漂う情念、それを代弁して熱くぶつかり合うロボ達。

 た・ぎ・る・わぁ~・・・・・・っっと、失礼。

 非常に、カタルシスを得られる。

 結末は、呪い、願い、その果て、人知れず咲く華のようなひとひらの救い。
 この愛すべき物語に、呪をかけられた、私もその一人である。

★★★ Excellent!!!


カルト教団と公安警察が人知れず呪術戦を繰り広げる、舞台は至近未来の東京。

現代伝奇作品でありながら、古くは日本神話にも遡るオカルトパンクーーしかし最終的にロボット作品としての熱い文脈を外さない、どうにも絶妙なラインを渡る作風がとにかく読ませる作品。

読み進めれば進めるほどに作者の呪術知識や神話解釈が作品に上手く溶け込んでいる様に唸らされ、最終的にそれが主人公の登場する「呪操槐兵」を魅せる舞台装置として機能している演出の巧さが各所に光る。今まで見たことのない作風にも関わらず、槐兵同士が巨大ビル郡の狭間でしのぎを削り合う様が容易に脳裏に浮かんでくる。

幾ら呪いで身が蝕まれようとも、愛する娘を救う為、眼に映るもの全てを殺し進み続ける主人公、水鏡幻夜。

呪いを糧に起動する謎多き槐兵「御霊」。

ーー曰く。呪装槐兵は最強のステルス兵器と謳われる。あるいは今この時。大都会の空を見上げれば、そこに呪操槐兵がいるのかもしれない。

そんな妄想に駆られる面白さを生み出した作者に嫉妬の念すら産まれてしまうーー思わず口元がニヤリとするような演出がいやに光るこの作者、やはりあなどれない。

★★★ Excellent!!!

呪術と、ロボ、そして東京。
その三つを余すことなく描き上げた、現代ロボット伝奇の名作が誕生しました。
作品全体に漂う、薄暗い雰囲気。最初から既に悲劇的結末が約束されたような空気をかもしつつ、物語は疾走感も高く駆け抜けていきます。

物語の終わりは、あるいは悲劇的結末なのかもしれません。
しかし、男の視点から見れば間違いなくやり遂げて勝ち取った結末なのです。
悲しくも、誇らしくも、美しくもある。

ロボットものだから、と。
読まずにいるのはもったいない作品です。
大切なものの為に、文字通りすべてを賭した男の姿、ぜひ。

★★★ Excellent!!!

神話的に、戦術的に、物理的に、極めて理論だって構築され描写される戦闘。
父と娘の、繊細で、切実で、悲しく、美しい、絆と愛情。
そのどちらもが呪という、怨念を以て緻密に細密に念入りに構築していく儀式の理と、呪わずにはいられない程の強い心の動き。
それを合一し見事に描き上げた、まさに「現代呪術」の名に偽りの無い物語。
ロボットものであり、泣ける物語でもあり、そのどちらもが、まさに呪術であるという一点に集約する、念入りな作劇の傑作です!

★★★ Excellent!!!

まず初めに、よくここまでSFロボットと呪術を上手く融合させたなぁと思います。

今作における『呪操槐兵』というロボットが何故人型しているのか、それは呪い人形を拡大解釈させた物だからとか。ロボットによくある武装が呪術道具に因んでいて、それでいて違和感を感じさせないとか。こういった設定を書くなんて本当に凄いとしか言いようがないです……。

そして人に見えないロボット戦というのもユニークで、人目に晒されながら戦う物とは一味違った緊迫感が感じられる。これもまた単なる設定だけに留まらず、今作における重要なキーパーソンになっているのもまた見事。

褒めているだけになってしまってますが、もうそれが言えません! 本編の内容はぜひとも読んで確かめて!

★★★ Excellent!!!

古式ゆかしく呪術とは、すなわち呪い、祓い、身を雪ぎ、穢すという行為によって成り立つものだ。

わかりやすく言えば、藁人形と釘がなければ丑の刻参りはできないということである。
呪術には手順が必要で、それがときに儀式と呼ばれるものである。

この作品はそれを、見事に現代の形に昇華している。
式神を放つには銃弾を射ればいいというのは、これ以上なくわかりやす縁の結び方だ。

何より見どころなのは、木製の巨大ロボット──槐兵だ。
軽量級でありながら、その迫力はすさまじく、作者の筆力もあって脳内ではとんでもない戦闘シーンが再現される。


加えて、作品のテーマの一つに樹というものがある。
樹木とは歳を経るものだ。
歳を経たものにはおのずと神が宿るのがこの国の考え方であり、藁人形などの形代も、もとをただせば木製である。
そうだ、本来死者の国を、我々はこう呼んだではないか。すなわち──根の国と。


現代において呪術を昇華させ、その上で巨大ロボ戦闘までやってのける。

まさに、現代呪術戦の看板に偽りなしの作品である!

★★★ Excellent!!!

 圧倒的な知識量。
 一切の妥協のなさ。
 あらゆる無駄を削ぎ落とし、かつあらゆる要素が詰め込まれている。

 作品そのものを刀とするならば、この作品の中で紡がれる物語は居合いと例えられるかもしれない。
 気付けば取り憑かれているのだ。本作の魅力に、牽引力に、質量を感じさせられる文章の数々に。
 斬られたことに気付かないまま、この作品に没頭しているのだ。

 2028年において人々の生活の裏側で繰り広げられている、呪いを以て呪いを穿つ――呪術戦。
 その呪術戦に身を投じることを余儀なくされている公安・水鏡幻也。

 彼がとある任務で目の当たりにしたのは、かつて喪ったはずの娘。
 そして娘が死んだ理由が、呪術戦にあるのかもしれない……。

 物語はまだ始まったばかり。
 一人の男として、そして父として……死んだはずの娘とともに、幻也は東京の裏側を跳ぶ。
 その先で、彼はなにを見るのか。

 この作品そのものが呪いであると言っても過言ではないほどに、あらゆる魅力が詰まった良作です。
 この呪いに打ち勝つことができるかどうか……あなたもぜひ、踏み入れてみてください。

★★★ Excellent!!!

呪術と巨大ロボット。

それはある意味相性が良く、そして難しい。

ロボットという人を超えた力を様式美をもって支配する流れが
魔術に似ていると仰った方がいますが。

それを成しえる為にはしっかりとした考察が必要で気軽に
纏められるものではない。

けれど本作はそれを成しえている。特にep6「見えざる純黒」

ここでロボット物としてのエンジュの魅力が開花するのだ。
それまで積み重ねた現代伝奇と特殊部隊を掛け合わせた
流れの枝葉にロボという華が咲くのだ。

そして、物語は結末に至った。そこにあるのは大筋としては
多くの人が想像した可能性の一つ。けれど呪というテーマをもって
描かれたこの終わり、あるいは始まりは最後まで読み終わった読者の
胸にしっかりと刻まれると思うのです。

★★★ Excellent!!!

 ニトロス、ヘルダイバー、エルンダーグ、そしてリリウス…巨大ロボットを通して真っ直ぐにテーマと向き合ってきた、氏の最新作が満を持して登場。いつもながら、一文字一句がハンマーで殴られたような強さを持ってる。それなのに、グイグイと読ませてくる。ハードな世界観はどこか耽美ですらあり、人間社会の闇を凝縮したような魔都東京の描写が美しい。追われる男は自由を捨てて、なにを得るために逃避行を?そして、近代の呪術戦を制するは、やはりロボ!愉快痛快ダークロマン、オススメです!

★★★ Excellent!!!

ぜひ、読んでもらいたい作品。
呪術と銃撃戦が混在する戦闘シーンの描写が凄い。
清楚で可憐な美少女も、血生臭い銃撃戦も、渋い男の生き様も全部、魅せてくる凄い作品と思います。

凄惨な銃撃/呪術戦の果てにたどり着いた場所が、可憐な愛娘って展開は…… 狂おしい感情が怖いくらいに素敵です。