物語の中心になる人物は2人。
非常に優秀なパイロットで好戦的な反面、情に流されやすく軍人としては余りにも甘すぎる御堂咲耶。
冷静沈着で合理的、軍人として極めて優秀、そしてある事情を隠し持つ入鹿玲。
2人それぞれの言動を軸に、国内外で巻き起こる陰謀や戦乱が語られていきます。
他の登場人物達も皆個性的で魅力です。世界観はしっかりしており、物語の展開も重厚で且つ文章は読みやすく、飽きる事がありません。
戦場の主力は巨大な人型ロボットとなっており、戦闘シーンは迫力満点でそれだけでも一読の価値があります。
善性に基づく行動が必ずしも正しい行いにはならない。それどころか明らかな誤りにもなってしまう。そんな軍や戦争における現実も描かれ、考えさせられます。
SF戦記の傑作です。
帝国近衛軍の士官候補生である御堂咲耶と入鹿玲の新型機での慣熟任務の様子が描かれています。
勇敢だが負けず嫌いな御堂と、冷静沈着だがやや臆病な入鹿という対照的な性格の二人が、敵のいないはずの荒野で突如襲撃を受けます。持ち前の操縦技術で善戦する御堂でしたが、入鹿の判断で追撃を断念します。
襲撃の背景を推測し、帰還を主張する入鹿に御堂が反論し、口論になるシーンからは、価値観の違いが浮き彫りになります。一方で、重甲機兵パイロットとしての使命感は共通していることが窺えます。
物語は、敵襲、交戦、撤退、背後関係の推測と、テンポ良く場面が転換します。世界観の説明も会話に自然に織り込まれており、巨大ロボット戦と臨場感のある掛け合いが展開されていきます。
アクションシーンと会話劇のバランスが取れた、読み応えのある作品です。今後の展開にも期待が持てる内容でした。