概要
高校三年生の時光宗平は、ある日の深夜、散歩中に空から落ちてきた光る石を拾う。
それから約二年後、石に導かれて、宗平は高校生の少女と出会い――
不思議な邂逅が二人を変える。
強い想いが奇跡を起こす、一途な恋愛ミステリー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!夜空を見上げ、星を探したくなる作品
正直なところ、かなり早い段階で結末までの流れを掴んだ。
だが、それが読み進める壁と成り得なかったのは、ひとえに作品の持つ、ただただ素敵な物語の珠玉の如き輝きによる。
驚くべきことに、作中のキャラクターがミステリーのトリックについて語る言葉がそれを証明してしまっているではないか。
――本を読み慣れてると序盤で気づいちゃうのよ。
――でも安心して。それを上回ってくる作品をご紹介しますよ!
私は、ご紹介されてしまったのである。
輝石による軌跡が奇跡を呼ぶ。
こうであればよい、という願いが原動力。
この点と点という読書体験が描く線によって、そこに感動を結び、こうしてレビ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!思いを繋ぐ石と意志! 3人の女性を巡る一つの愛と歴史の物語
これは一つの石からはじまる物語。恋愛ものであり、ライトなSFであり、ライトなミステリーでもある。軽い読み口で、いろいろな楽しみ方ができる非常にお得な物語。
大学生の宗平はある日、不思議な石を通じて謎の女子高生・伊澄と出会う。二人は石を通じて仲良くなり、そして恋愛相談をするまでに。大学には宗平の思い人・明李。バイト先には可愛い後輩・文月。
3人の女性を手玉に取ろうとする宗平は悪であり、許してはおけない……脱線しました。
この3人の女性と、宗平の未来が物語のカギとなり、少しずつ全体のディティールが明かされていきます。最大の謎である伊澄の正体が物語の見どころなのですが、それは本編を読んで確か…続きを読む - ★★★ Excellent!!!交流と絆を描くミステリー
お互いぼっちな男子大学生と女子高生が、不思議な石を介して交流を始める。
男子大学生には意中の女性がいて、その恋愛相談が始まるが、最初乗り気だった女子高生は、突然なぜか態度を変えてしまう。
いったいどうして――
探偵役はおらず、読者が謎を解いていく構成となっています。
大きな事件は起こらず、大部分が会話でありながら、シチュエーションづくりの巧みさや弾むようなトークに、読む手が止まりません。
十分な伏線が張られていて、真相を推理することは理論上可能ですが、作者の巧妙なミスリードに騙されてしまいます。
結末は本当に心温まるもので、誰もが感動できると思います。
まさに奇跡の物語!
オススメです。 - ★★★ Excellent!!!輝石の軌跡は奇蹟を導く
素晴らしい小説☆
ミステリーですが、とても心温まる物語です!
宇宙を志して勉学に励む大学生が、不思議で綺麗な石を通じてある女性と会話をするようになるところから話はスタートするのですが、それはまさしく奇蹟への軌跡!
まさしくタイトルには二重、三重の意味がこめられていています。
完成度が高いだけに何を言ってもネタバレになりそうなんですが、最後にすべてのピースがピタリと嵌まる爽快感に加え、エンディングでは爽やかな読後感と涙を誘います。
読んでいてここまで温かく、そして優しくなれるミステリーもなかなかないのではないでしょうか?
蒼山氏の文章は難解ではなく、易しい言葉でしっかり読者の胸に響かせ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重なりあう幾つかのキセキが、かけがえのない絆と柔らかな思いを運んでくる
ある石を通じて、特定の場所で言葉だけを交わすことができる。お互いに孤独と淡い恋心を抱えた大学生の男の子と高校生の女の子が遭遇した不思議な出会いが、ふたりの今を変えていく物語です。
好きな人に思いを伝えるという王道の展開や、物語が進むにつれて、無関係に見えたふたりの間柄が明らかになっていく面白さに加えて、純粋でひたむきな登場人物たちと、それを描きだす柔らかな筆致に惹きつけられました。さらには主人公ふたりだけではなく、彼らに恋心を抱いた人たちにまで、キセキが用意されているのですから、作者さまの人柄に触れたような、そんな気持ちになります。
「キセキ」という言葉にみっつの漢字があてられるこの物語…続きを読む - ★★★ Excellent!!!まだ会ったことない君を……
恋愛系ライトミステリーもの。
不思議な石を通じて交流する男女のお話で、方向性としては新海誠監督作品の『君の名は。』に近いものがあると思います。石のギミックもうまく活用しつつ、会ったことのない男女を描くこの物語は、恋愛作品として一癖も二癖もある面白い作品に仕上がっていて、とても好感が持てました。
ミステリーとしては、ライトミステリーといったところでしょうか。読者に挑戦状を叩きつけるようなガッツリとしたミステリーではなく、所々にある違和感のような不思議を、ストーリーを追いながら明らかにしていく作風。ヒントが多く隠されていますので、勘のいい方なら見破れるかもしれません。石の秘密的にこのレビュー…続きを読む