本編の“シリアスな医療ミステリ”の裏で、まさかこんなドタバタ劇が繰り広げられていたなんて――!と思わず笑ってしまう一冊でした。
篠田葵のズレた推理は、確かに的外れなのにどこか筋が通っていて、読んでいるうちに不思議と応援したくなります。
医療×情報システムという題材ながら、専門用語や複雑な設定に振り回されることもなく、すっと物語に入れるのが魅力。
作者様の筆致が丁寧で、登場人物たちの温かいやりとりや、職場の日常風景までリアルに感じられます。
本編を読んでいる人には「こんな裏があったのか」とニヤリとできる要素がたっぷりですが、スピンオフ単体としても十分に面白いです。
ミステリーの緊張感を和らげる“癒やしの休憩室”のような作品です。