41 PS.ある小皇帝の驚嘆
41 PS.ある小皇帝の驚嘆
初めて見たとき、
そんな暢気な様子なのに、
普段、大人達を見てもそんな風に思った事がないのにだ。
両親以外の大抵の大人は、卑屈か、狡猾だが馬鹿か、犬のように忠実か、そんなところだった。
まして、同じ学校の子供達なんて、ビヨピヨさえずるヒヨコみたいなものだと思っていた。
だから、親につけられた学友気取りの取り巻き達に、場違いな人間が入学したと聞いた時、考えたのは義務だった。
下々の人間を不当に扱うような人間から守るのが、高貴な身分にあるものの
この学校の指導者として、公平に扱ってやろう。
それくらいの気持ちだった。
なのに、1年生とはとても思えない体格と2年前に亡くなった祖父を思わせる鋭い瞳を見た時、ボクは畏怖を感じてしまった。
ボクでさえそうなのだから、取り巻き達は
それでも、ボクにとって祖父がそうだったから、そんな風に感じてしまうのだろう。
無理矢理そう考えて、口を開いたのは、自分が特別だというプライドがあったからだ。
「君が
「初めまして──で良かったか?
祖父のように下々の人間を蔑むような様子も、取り巻き達のように媚びる様子も、教師達のように敬遠した様子もなく、下々の大人達が下々の大人に接するような、本当に自然な態度だった。
それなのに、ボクも取り巻き達も、畏怖から解き放たれずにいた。
取り巻きの一人などは、
「ボクは、4年生の
その雰囲気に呑まれないようにボクは、
ボクの名を知らなくても、青修会の名なら知ってるだろうからと、安易に権威で
それは、何にも頼ることなく立つ
「で──そっちの二人は?」
「…………!!」
「………………!!」
二人が声もなく泣きそうになっているのを見ると、無言でボクに猫を押しつけて、ゆっくりと二人の後ろからその肩に手を回して、二人の間に立って、人懐っこい笑みを浮かべた。
「そんなに固くなるな。敵同士じゃない。同じ教育の場で過ごす仲間だろう?」
その言葉で、ふわりと空気が柔らかくなったようで、取り巻き達は、今度は
「初めまして、
二人から離れると
それだけで、ボクは
それまでのボクだったら、それを不愉快に感じたかもしれない。
けれど、不思議と
「ぼ、ぼくは
「……
そして、ボクは二人を、初めて押し付けられた取り巻きではなく、一人一人の人間なのだと気づいた。
それが、ボクの世界を変えた
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