5 VS.トラック転生







「師匠、死なないで。師匠!」


 地面に仰向けに倒れたまま、別働隊が止めを刺したトラックの滅びの声が轟く中、近くで、ラウサの泣き声がする。


 もう目は見えず、声を出す事もできない。


 《狂戦》スキルで、生命力を‘ 命気 ’に変え、限界を越えて‘ 命気 ’を使い果たした事での衰弱だ。


 使えばこうなる事は解っていたが、使わねばもっと早くに瘴気の毒で死んでいた。


 生命力を回復する神霊術を使える者達は、主力として災厄位と戦っている最中だし、自分で回復しようにも、とうに‘ 神霊力 ’は使い果たしていた。


 どうやら、これまでのようだ。


「‘転生の神の加護がありますように、我等うたかたの魂を、呪によって来世に導き、新たな肉体に宿らせたまえ。【リィン・カーネシュナ】’」


 ラウサのかける呪いを止める事もできずに、心臓が鼓動を止めた。

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