概要
終わりなき日常はいつまでも続く。そんなこと解ってる。でもやっぱり、きっと誰もが心の何処かで、いつだってほんのちょっぴり世界の終わりを想っているんだって、そんな風に私は思う。
おすすめレビュー
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- ★ Good!90年代的終末思想リバイバル
80年代から90年代に流行った終末思想を2010年代の、平成も終わりかけの今になってまで言い続けている古臭さが漂う作品だと言えるかもしれない。だけれども、そこがまた魅力だ。
ノストラダムスの大予言、鶴見済の完全自殺マニュアル、各章やエピソードのタイトルに散りばめられた、終末思想を描いた作品のパロディ要素。
私も思春期の頃にはよく、世界の終わりを願ったものだと思い出した。2012年に終末が訪れるなどというマヤ文明の予言の載ったムーを読んで、早くこんな世界が滅びればいいのにと思った。そして、今でも世界の崩壊を願っている。ただ、そんな願いは叶わない。それは、作者も私もだ。だからお互いに「終わらない…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この普通で、愛すべき平坦な世界を生きるために。
普通の、終わりのない日常から逃げ出したかった少女と、
普通の、誰にでもある日常をこそ探し求めていた少女の、
「世界の果て」を目指した、ほんの短いひと夏の逃避行。
退屈で、変わりがなくて、灰色で、平坦な学生時代に、抗えない世界の不条理にぶつかること、それを呪うこと。
「世界の終わり」を夢想しながら、目の前に広がる世界をどうしようもできないと絶望し続けること。
そんなことが、きっと誰にでもあり得るし、それがあるということを、誰もが忘れてはいけないことだと思うのです。
――そう思うことは、感傷的でしょうか。
私は、この小説を読みながら、生まれ育った田舎で見続けていた、夕暮れの紅のことを思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「世界の終わり」を愛するすべての人たちへ
「このつまらない世界が終わって欲しい」
僕を含め、誰もが思春期に一度は抱いたことのある願望ではないでしょうか。
理想の自分と現実の自分の乖離に嫌気が差し、ある日突然、何の前触れもなくやってくる「世界の終わり」を願う。
崩壊した世界では、自分は特別な存在である。少なくとも、世界の終わりを乗り越えて生き延びることができたのだから。そして崩れ去った街並みを自分と、同じように生き残ることができた大切な人たちと共に見下ろす。そこにはもう自分を苦しめていた終わりなき日常は存在しない。全ては非日常であり、すべての経験が他者と代替不可能な特別のものとなる……。
自分にとって苦しみのない世界の終わり。自…続きを読む