聖願心理

お父さんが突然の事故で亡くなったことを、わたしもお母さんもなかなか受け入れられなかった。 その年のクリスマス、毎年お父さんが書いていたクリスマスカードが、テーブルの上に置かれてい…

ジャン・ポール・三木！　ジャン・ポール・三木！ジャン・ポール、ズン！ズン！ 　初めは「ダンボール……」って聞こえてたんですけど。 　一度空耳で刷り込まれると抜け出せないですよね？

疲れ切った僕は、ある日、指先に巻いてあるセロテープが剥がれかかっているのを見つけた。 僕はなぜかそのテープを、剥がしたくて仕方がなかった。

情けない男が吐くだけの話。

みーちゃんはおとなしい女の子です。 悲しくても辛くても怒っても傷ついても、ぜんぶの言葉を飲み込みます。 それが正しいことなのだと、ずっと信じていました。

世界の片隅に命の森という精霊の住まう森がある。 森に暮らす少年セラは精霊が見えるという人と変わった性質を持っていたがゆえ、人々に蔑まれて孤独に生きてきた。 セラはある日、泉の畔…

　戦災ですべてを喪った料理人が辿り着いたのは、迷い森に佇む革命軍の拠点――ダグラ森の砦だった。心に虚無を抱えながら砦で生きていた彼はある日、行き倒れていた狐獣人の子供を拾う。 …

神様であるコトノハは、今日も言葉の世界を旅する。それを見つめ続けることが自らの使命だと、そう思いながら―― ＊「カクヨムWeb小説短編賞(エンタメ短編小説部門)」への応募作品で…

　高校生の須藤 咲凪（すどう さな）は、放課後を校舎の屋上で過ごしている。色褪せて見える世界の中で、そこから見る空だけが鮮やかさを感じられるからだ。 　ある日、屋上で不思議な雰囲…

最初はただ埃を集めていただけ。けれどこの部屋にはチリトリがなく、気付けば埃の山が築かれてしまっていた。その埃の山が原因で部屋の住人たちは病気になってしまう。解決策のないまま、緩慢…

　神がかり的な不幸体質の俺が、ついにモテ期突入——と思いきや、部屋に居たのは美幼女⁉

ごめんなさい。むしゃくしゃしてやりました。後悔はしていません。 ただ、「平和なくらし」があたしにとっては耐えられないものだったんです。 だから、こうするしかなかったんです。 ※…

何千年もの間、人の血肉を喰らうことで命を永らえている一人の悪魔がいた。 ある皆既月蝕の晩に悪魔は、ゲツセマネの園で一心に祈る男と出会う。男の名は、ナザレのイエス。 やがて逃げ…

都市アクアリウムにはその日、「予告」されていない大雨が降った。 そんな日の、どこにでもいそうな彼らの光景。

アメリカのUnited Onion社が開発した、人から人（もの）へ、目で見てわかる形で愛を伝えられる「愛情チャージャー」。彼女は僕が夜にたくさん送った愛を、いつも翌朝、シナモンに…

拝啓、私はいま、猫の国にいます 　猫をかばって交通事故に遭ったＯＬ 和多々比三華　……通称ミケは、猫たちが暮らす異世界に転移していた。 　そこはまるで御伽の国だった。森にはキャ…

〈グラスシューズ〉。そこは遠隔操作されたセクサロイドとひと時を過ごせる癒しの店。 女性権利団体に所属する柊ケイは、〈グラスシューズ〉で障害を持った女性たちが働かされているとの噂…

僕の名前は村上康介。多分、記憶喪失だ。 超絶美少女、一ノ瀬あおいと付き合っていることを忘れているのだから。 まったく身におぼえはないが、こんなチャンスは二度と無い！ こんなに可愛…

男なのに裁縫が趣味。 母親に隠れてパッチワークをしていた俺だったが、隠していたことがバレ、全てを捨てられてしまう。 家に帰りたくないと遠回りをした帰り道、ボロボロの一反木綿を見つ…

　目が覚めると、ワタシは見知らぬ教室にいた。 　自分はいったい誰なのか。 　何故教室にいるのか。 　これから何をすれば良いのか。 　何もかもがわからないからこそ、はっきりと理解で…

「私がそのカミサマと出会ったのは、真夏の昼下がりだった…。」 とある田舎町の寂れた駄菓子屋で、店番をする少女と一匹の柴犬。 この物語は、彼らだけに視える「カミサマ」が、彼岸から…

リレイ▶︎神様嫌いの天狼。天使の青年に化けられる。風魔法、歌魔法、医術。 フィー▶︎心が壊れているらしい、ぬいぐるみ遣いの少女。霊聴、霊視。 エメロディオ▶︎ぬいぐるみの身体…

わたしは両親を亡くしたご主人様の世話をするアンドロイド。 名をミリエラ。 彼の世話をして、ずっと、ずっと。 そうしていつの間にか、わたしは彼を愛していたらしい。 彼の脈打つ心臓を…

//書籍第5巻　電撃の新文芸より発売中！ // 男爵家の長男、ロルフは、知勇ともに大いに優れた少年だった。その将来を疑う者はおらず、婚約者のエミリーや妹のフェリシアからも慕われて…

華々しい未来を夢みて都会に出てきた私は、現実に打ちのめされていた。 そんな時、ひとつの出会いがふたりの未来を変える。

クリスマスに訪れたアンティークショップ。店の庭で売られていたグリューワインは、アルコール入りと入っていないものの二種類がある。未成年の私は、当然アルコールなしのものをいただくけれ…

ある夜の夢が忘れられずに書いた物語。 女だからではなくて。 男だからではなくて。 あなた、だから。 全ての人が、自分の｢好き｣を大切にできる世界でありますように。

かつて砂上の戦神と謳われた無限の紡流を持つ男、イクサ。 彼が戦いの場から離れて６年。 商人として平穏な日々を送っていた。 しかし特異な能力を持つ少女、リェリィとの出会いが、彼を再…

白血病の治療中に意識不明になった女子高生の雛乃は、気がつくと美しい楽園にいた。 そこで出会った鳥ヴィンに恋をした雛乃だが、その楽園は崩壊の危機を迎えようとしていた。 なんとか雛乃…

私はきっと、異星人(エイリアン)なんだ。 だって普通とは違う。 私は女で、そして女の子を好きになった。 この星の重力は重すぎて、 この星の空気は息苦しい。 だからきっと、私…

辺境の星にぽつんと建てられている、古風な塔。その内部には、無数の本が所蔵されている。 そこで蔵書の管理をする青年と、茶トラのメス猫アルカディア。 それは磁気嵐の荒れ狂う日に、と…

悪夢を見たと思った。 侯爵家の令嬢カトリーヌは、誰かに刺された夢を見て飛び起きた。 第二王子と友人の婚約披露パーティに向かうまでの間に、夢で見た出来事が繰り返されているような既…

死にたがりの僕は、毎日死のうとしている。 でも死ぬことができない。勇気が無いから。 そんな死にたい主人公の、妄想の話。

あいつが好きかと問われれば、もちろん好きだ。 あいつにもし恋人ができたとしたら、きっと気が気でないだろう。 しかしその感情は、恋と呼ぶには熟成されすぎていて、愛と呼ぶには軽薄す…

「４０日後、私達の地球に巨大隕石が衝突します」 　地球滅亡が迫るなか、主人公の陸斗（りくと）は、抜け殻のような毎日を過ごしていた。 　元々、学校にも行けてない。 　みんなに諦…

どうして探偵になったのか分からないまま、世界と切り離された赤ずきんは惨劇と出逢う。 犯人は、だれ？

ソラは母に手を引かれ、祭りの出店が立ち並ぶ中を歩いていた。 そこで見つけた、辻占いの店。 不思議な魅力に捕われたソラは占い師を追い、次第に心惹かれていく――

告白と玉砕を繰り返しながら、有野君は何を求めるのか。 幼馴染の森矢はなぜ掃除用具入れからそれを見ているのか。 ちょっとだけ重い男女の、恋愛短編小説。

《月葬》それはなにも遺さない葬式だ。だから廃れた。 けれどもわたしは今宵、双子の姉を月に葬る。姉を愛するがゆえに。 「ね、ふたりだけのお葬式をはじめようか、姉さん」 わたしに…

誰よりも近くにいた。 でも今は誰よりも遠い存在。 いつだって傍にいた。 でもそれが確約されたことだなんて誰が言った？ 成長するにつれて微妙に距離感が変わるのは仕方ない。 つか…

その女は桃缶を持って河原に現れ、ぼくに語った。 すでに世を去った、彼女の大切な人について。

　時はアニソン戦争時代。アニソンはもう、オファーだけで決まるものではなくなった。 　アニメのタイアップを賭けてアーティスト同士が戦う。それがアニメタイアップ争奪戦。通称――『アニ…

　──骨はその人間のすべてなのだと思う。 　少年時代、病弱なお姉さんに一目惚れした『僕』は、毎日彼女のもとに通っていた。ある日『僕』は胸に秘めた想いを告げ、二人は約束を交わす。…

仕事ばかりの生活に疲れきった高橋朗は、夜にしか見つけることのできないというウランを含んだシーグラスを探すため、深夜の大洗海岸を訪れていた。 そこで出会った地元の女性、ミナ。 自…

ときを止めたい少年は、時計を冷凍庫に入れた。 母は「時間は凍らないのよ」と言った。 それまでにもいろいろ試したけれど、時間を止めることは叶わなかった。

四つの花壇があった。それぞれの所有者は蒔かれた種を育てなければいけなかった。 きれいな花を咲かせたい。願いはただそれだけだったはずなのに……。

【本編完結済（約50万字）・番外編完結済（約3万字）・後日談完結済（約5万字）】 ◾️イラスト置場◾️ 　https://kakuyomu.jp/users/Hatori/ne…

　探偵に家族を滅茶苦茶にされた男子高校生の虎川氷河はとある事件に巻き込まれ、共に行動していた幼馴染の美伊子が探偵と名乗る者に殺されてしまう。 　深い絶望に襲われる最中、氷河の前に…

「私ね、涼に手紙を書いた時から、ずっと嘘をついていたことがあるの」 「それは大事なこと？」 「うん。それはそれは大事なこと」 　小夜は少しおどけてみせた。 ※カクヨムコン6の参…

カクヨムコン6短編小説部門【佳作】受賞作 中学三年生の優斗は、夏休みの前日に二週間前から学校を休んでいる幼馴染の家に課題を届けに行く。 彼女の部屋に案内された優斗は、彼女の右腕…