自分の部屋、掃除しますよね。ゴミ、捨てますよね。ゴミステーションとかに。自分の部屋は綺麗になりましたよね。綺麗ですね。その「ゴミ」は、誰かが負っています。回収業者さんが。焼却場が。廃棄場が。マクロ視点で見ると、全体の「汚れ」は場所を移動しただけで、増減していないように見えます。いや、きっと増えています。今も。人間が息をして、活動して、生きている限り。いつかチリトリで集めるべき埃が。何に置き換えましょうか。貧困? 戦争? 差別?テーマ。メッセージ性。作者様のセンスが遺憾なく発揮された名作だと思います。
チリトリが無いせいで埃の山と暮らさなくてはいけなくなった人達の物語。同じ状況になった事はないのに、主人公の悩み、苦しみに共感してしまいます。自分たちだけでは解決出来ない難題に当たると、新しい提案に乗ってしまうのも無理はない。埃だらけの部屋はどうなっていくのか。物語を終わりまで見届けた時、あなたの胸に浮かんだ感情は何なのか。世の中の様々な問題に思いを馳せたくなる傑作です。ぜひご一読ください。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(117文字)
チリトリのない部屋というのはいったいどういうものだろうか。タイトルから誰もが疑問におもうはず。読み進めていくうちに理解する。ああ、私達が現実に生きる社会こそが「チリトリのない部屋」だと。そしてここには「ゴミ箱もない」……紛う事なくこの著者様にしか書けない世界観です。社会派哲学を語るこちらの小説。ぜひともひとりでも多くの読者様に読んでいただきたい。そして読み終えた後は余韻に浸りながら、考えてみてほしい。あなたならば、どうするのか。
本作で語られる舞台は、ほんの小さな部屋の中での出来事ですが、この世の中での問題とよく似ている。山積みになっていく問題を先送りにして、取返しの付かない事が起き始めて、初めてどうにかしなきゃと動き出す人々。自分が経験してきた事と重ね合わせて、あの時どうすればよかったのか? などとつい考えこんでしまうような名作だと思います。傍から見てると、こうしたらいいじゃんとか、こうしたらよかったんじゃ、とか。いやいやその方法は一番ダメでしょ!なんて言葉が自然と溢れてきます。そんな作品、なかなか出会えませんよね。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(224文字)
魅力的なタイトルと、一見ありそうな状況から始まるこのお話。しかし展開は徐々にあやしい空気で満たされ始めます。最後に待つのは一体?あなたはこの場にいたら、何をしますか?
立場が変われば正義も変わる、を表したお話です。 不思議なお話ですが、部屋と外、チリトリがキーワードになっています。 部屋にはどんどんほこりが溜まり、対処を迫られます。 そして、主人公はある人の助言でそのほこりを…… 部屋=立場 なのかなと思いました。 読まないとどういうことなのか分からないです。 考えさせられます。 オススメです! 是非お読みください!!
部屋の中に埃が溜まってきたから、箒で掃き始めた。しかし集めた埃を運ぶためのチリトリがない。他にほとんど情報が無く、その事実があるだけ。それなのに、こんなにも興味を惹かれてしまうのはなぜだろう?倫理観を揺さぶるような、チリトリがない話。あなたならどうする?
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