★★★ Excellent!!! 本当はただ、やさしくありたいだけなのに。 詩一 みーちゃんは殺人鬼です。 その言葉に偽りはありませんでした。 徹頭徹尾、殺人鬼でした。 小説というのはリアリティを追及すると、読んでいる人の心に手を突っ込んで内側から搔き毟ることができるのだとわからされました。 あるかもしれない現実を掬って、人間の内側に巣くう化け物を呼び覚ます。でも、涙さえ流せずに耐え続ける人を救うストーリー。 レビューいいね! 3 2022年5月23日 00:40
★★★ Excellent!!! これは泣いちゃいます。みーちゃんの壮絶な半生。 弓チョコ こんな濃密でリアルな物語を1万字で描けるものなのですね。 みーちゃんは殺人鬼です。このタイトル。色んな意味が込められています。全てにしっかり意味があります。文字だけで判断をしてはいけません。 悲しい物語です。あらすじには、みーちゃんはおとなしい女の子であると語られています、その通りです。本当にその通りです。 丁寧語調の地文というのが秀逸で、ある種の絵本のような柔らかさで読者を捉え、ミステリー要素で捕まえ、ラストのカタルシスで読者の心を食い尽くす。そんなパワーのある、また説得力のあるストーリーでした。 ☆が少なすぎると思いました。もっと読まれて良い。皆に読んで欲しい。だからレビューします。 そして、他のレビューも拝見して「確かに!」となりました。皆さん分かってらっしゃる。 私も、みーちゃんもみーちゃんのお父さんお母さんも大好きです。願わくば、彼らの道の先に心の平安がありますように。 レビューいいね! 4 2022年3月24日 23:36
★★★ Excellent!!! 殺して殺して、殺しつづけた先に待つものは 野々ちえ みーちゃんは幼いころからずっと我慢を重ねています。つらいこと、悲しいこと、苦しいこと、彼女はすべてを飲みこみ、そして殺すのです。 この物語を読んだとき、恐怖を感じるか痛みを感じるか、それともいら立ちを感じるか、あるいは安らぎを感じるか。 おそらくは読者がこれまで歩んできた人生によって異なる表情を見せてくれる物語です。 ですます調のやわらかな語り口であぶりだされる人間の深淵。ぜひその目で覗いてみてください。 レビューいいね! 4 2022年3月24日 21:51
★★★ Excellent!!! 「人間の性質」と、直面することのできる作品 木野かなめ とてつもない作品を読んでしまいました。 みーちゃんは、いつも我慢をしています。それは小さなころからずっとです。みーちゃんには日々、たくさんの不条理が降りかかります。みーちゃんはそのたびに「殺す」のです。彼女がどうして殺人鬼になってしまったのか。みーちゃんはみーちゃん自身に、そして、読者であるあなた自身に語りかける。この一万字超は、彼女の記憶と記録の物語です。 ネタバレさせたい気持ちをぐっとおさえ、なるべくぼかす形でこの物語の凄い点についてお話したいと思います。 まず、みーちゃんが幼いころから25歳である今に至るまで、どんな環境で生きてきたかを必要最小限の言葉で描いているところが凄いです。人間の人生ですからね、25年といってもそれはそれは長いもの。しかしそのなかでも特にみーちゃんの感性や価値観に影響を与えたところだけを完璧に説明してくれる。中編で人生を述べるのというのはこれ、私が書き手だからわかるのですが至難の業です。ドキュメンタリー番組よりも、さらに高い編集力を感じることができました。 次に、それぞれのステージの事件がショッキングすぎる。まったく衒うことなく事件の詳細が描かれているのです。読む方は息を呑みます。ここまで人間のいやらしさを描くことができるのか、と私は驚きました。でもそれって、ただエグいことばかり書いても伝わりません。本作がすごいのは、ショッキングなことが起こ… 続きを読む レビューいいね! 2 2022年2月6日 03:52