読みやすい軽さや明るさの中に、じわっと響く味わい深いメッセージがこもった、読後の余韻の深いラブコメです。
超のつく不幸体質である主人公と、彼が同居することになった何とも可憐な座敷童。そんなこんなのうちに、不幸体質であったはずの主人公の日々が見る間に開け始めて……!?という単純なラブコメではないところが、この作品の大きな魅力です。
古来長く続いてきた、神と人との関わりの深さ。人の孤独と同様に、人の願いを叶える神にも孤独がある。そんな、どこか物寂しく切ない神と人との心の触れ合いは、読み手にほんのりと温かく、ぎゅっと切ないメッセージとなって響きます。
何とも独特なキャラ設定やストーリーの緻密な展開。その中に散りばめられた登場人物たちそれぞれの繊細な心情と、軽妙なユーモア。それらのバランスが大変心地よく、気づけばどんどんページをめくってしまいます。作者様の深い学識と高い筆力、豊かな想像力あってこそのものと感じます。
ただ甘い楽しさばかりのラブコメではない、読者に程よく考えさせながらぐいぐいと読ませていく、深い滋味に満ちたラブコメです。ぜひご一読ください。
不幸体質から人生諦めモードの主人公が大学生になって一人暮らしをした先で出会ったのは、なんと座敷童子!!の可愛らしい幼女(実年齢はさておき)だったというところから物語は加速していきます。
狭いアパートで座敷童子の椿ちゃんとの同居生活は、お着替えハプニング満載の楽しいことばかり……かと思いきや、座敷童子や神さまの存在について、いつしか主人公と一緒に胸を痛めていたりするのでした。
とはいえ、ラブコメ!!
軽やかな文体は、くすりと笑いを誘い、相変わらず不幸体質ながらもモテモテ?の主人公の大学生生活を楽しく読み進めるうちに民俗学にも興味が沸いてくるのは間違いありません。
くすりと笑って、ほろりと涙して、きゅんと胸を押さえ、読み終わると温かな気持ちになっている。
素晴らしい読書体験が出来るこちらの作品。
すっごく、お勧めです!!
周りの人を巻き込むほど不幸体質の主人公は、家族を不幸から守るべく、大学進学を期に一人暮らしを始めます。
入居先で出会ったのは、まさかの美幼女。
うはうはの同居生活、しかも他の女神からもモテ始めて、遂に不幸体質脱却か!
と思いきや、全然そんなことは無くて、相変わらず面倒事に巻き込まれる日々。
その中で、深く深く神様の世界に引きずり込まれていくことになります。
神様との関り方、地域の伝承などにも触れられている本作品は、民俗学の面白さも伝えてくれます。
ラスト、彼が選ぶのは一体どの神様になるのか。
成長を遂げる彼の姿にきゅんとしました。
お勧めです!
皆さまは座敷童っていると思いますか?
例えば、可愛かったり、やっぱり可愛かったり、もしかしたら可愛かったり……
この物語は不幸体質を身にまとった青年のちょっと有難~い神様との同居物語です。
夷也さんは普段ものすごく重厚な文章を書かれる方なんですが(癖になるんですよ~)、今回はラブコメということで新鮮な気持ちで拝読しました。
民俗学から展開される文章の厚さはこの作品にも存分に生かされています。
読めば読むほどなじむように深い味わいを生み出しているのですね。
ですが、基本はラブコメですので肩の力を抜いて楽しく読んでおりました。
「え、ちょっとあだ名がゴッドって?」
神に生まれし、青年の物語? えっ、そうなの?(違います)
わたしは爆笑しました。そんな出生の秘密がありますか。
読み応えたっぷりのラブコメディです。
神さまの暮らし……
……覗いてみる?
不幸体質である主人公が進学を機に一人暮らしをすることになった。
家賃が安いとなると事故物件が頭をよぎったが、そうではなく部屋にいたのには座敷童。
引っ越しとともに、座敷童と同居が始まった――
新しい地での生活は順調で、主人公はモテ期のように縁が広がっていき、良い方向へと進んでいきます。
物語が進むにつれて座敷童が部屋にいる理由もわかってきますが、土地にある言い伝えや神社などが関係してきます。
ジャンルはラブコメなのにタグには民俗学や信仰などが入っており、どんな関わりがあるのだろうと不思議に思っていましたが、重要なワードとして物語は展開していきます。
不幸体質の主人公が、座敷童と出会ったことでどう変わっていくのかを知りたくなった方は、ぜひ読んでみてください。
関わった人を残らず不幸に陥れてしまうという、悲しい運命を背負った主人公・樹。
虐めて駄目なら逆に崇めるべしと、級友たちから『ゴッド』と呼ばれ畏れられた彼の人生は、下宿先の部屋に神棚が設置されていたことで風向きを変えていくのですが……
部屋に居着いた座敷童。なぜかやたら絡んでくる一癖も二癖もある不思議な美女たち。
女難の相って何ですか?!どたばた何かに巻き込まれ続ける樹の明日はどっちだ!
シニカルな語り口で淡々と綴られる状況が、シュールな笑いを誘います。
何より、座敷童の椿ちゃんが可愛い!事あるごとに彼女の着替えに出会してしまうのはお約束。
ところどころに差し挟まれる、民俗学をベースにした逸話が興味深いです。
神棚にまつわる謎の真相ははたして——?
何かを信じること。誰かを守りたいと願うこと。
きっと誰もが持ち得る感情が、強く確かな絆になるということ。
じわっと温かく沁み入るような読後感でした。
ゴッドと呼ばれた樹の人生の転機、ぜひ触れてみてください!
不幸体質で不遇な少年時代を過ごしてきた主人公は、大学に入学し一人暮らしのためにアパートを借りますが……。
そこには座敷わらしがいた!?
これだけだとホラーになってしまうのですが、座敷わらしはご主人さまが大好きないかにも可愛らしい女の子。
この座敷わらしと出会ってから、不幸体質の主人公に、魅力的な女性との出会うなど幸運の兆しが訪れますが……?
作者様の民俗学の知識を活かしたギミックが盛り込まれており、だんだん謎が明かされるように物語は進んでまいります!
スピリチュアルなテーマなのに、キャラクターが光っていて、素人の私でもとても楽しく読ませていただきました!
また、物語の完成度も非常に高く、それでいて文章も読みやすいです!
ぜひご一読くださいませ♪