革命砦の料理人

作者 眞城白歌(羽鳥)

278

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★★★ Excellent!!!

家族も故郷も何もかも無くしたダズリーという料理人。彼はヴェルクという青年に拾われ、ダグラ森の砦という別名「革命砦」と呼ばれているところで心の傷を抱えながらも料理人を始める。
ようやくその傷が薄れかけてきた頃、うまく言葉の喋れない「ヒナ」という狐のなりをした少女が行き倒れていて……。

という展開から分かる通り、癒し系の作品です。
ダズリーは家族を亡くし、ヒナはおそらく故郷を追われ、そんな傷つきあった二人が、マイペースな獣人医師のリーファス、例のヴェルク、翼を持つ少女たちのミスティアとフェリアら、なんだかフラグを立てられがちな強面のガフティ、イケメンのシャイルなどなどに見守られ、ダズリーの振る舞う料理とともに少しずつ癒されていくお話です。
おそらくダズリーはそれまでは喪失を抱えてあまりにかわいそうな状態であり、機械的に料理を作っていたんだと思うのですが、ヒナと出会ってからは彼女が喜ぶもの、楽しいものを考えて料理するようになっていきます。

保護者と被保護者のような、家主と居候のような、親子同士のような、親戚同士のような、はたまた恋人同士のような、ダズリーとヒナの不思議で繊細な言語では語れない愛に満ちた関係も見もの。

面白いのが、主人公・ダズリーの年齢に合わせて若干スレた文章であり、なおかつ物の見方にものすごく余裕があるということ。本作ではイケメン枠として登場するシャイルや本作ではオッさん(若いのに……)枠として登場するヴェルクが活躍するElenarze Continente Historiaの緊迫感とは一味違った味わい深い大人の余裕があり、人間模様を観察する際にダズリーさんが人を評する温かみのあるけれども鋭い言葉がとても好きです。

物語通り、戦火の中、ほっと一息つける場所にご案内された気分です。

★★★ Excellent!!!

が、書き綴られていました!
物語の導入としてはとても厳しい戦乱が描かれているのですが、その後の主人公やヒロインの心温まる日々が主軸です。

章の単位がとても読み手に配慮されており、それ毎に料理が出てくるわけですが、美味しそうな料理をさらに引き立てるかのように食べる相手もとても魅力的に描写されており、とても羨ましく感じるほどです。
キッチンが戦場となるわけですが、世界観に見合った精霊が手助けしているところも芸が細かく、とても練り込まれた設定をひしひしと感じることができます。

また、短話形式で綴られているにも、関わらず毎話の引きの描き方がとても優しいので個人的に読了後の気分がとても清々しいです。
そんなほのぼのキッチンファンタジー。あなたも頂いてみませんか?

★★★ Excellent!!!

男が一人、森を歩く。

目に光はなく、視線は定まらず。
足取りもどこか危うい。
精霊の導きのもと一つ向きへ歩いているにも関わらず、朦朧。
光ささぬ深い暗闇、その只中をさまようかのような不穏さがつきまとう。

事実、男の心は光をなくしていた。
今にも崩れ伏しそうな困憊も、主因は精神の消耗によるもの。
肉体以上に、その心が傷つき、力を失っていた。

――妻子をなくした。係累も。
戦火に巻かれたのだ。
都に出ていた彼のみが生き延びた。不運にも。

今まだ心臓が鼓動を打っているのは、末期の妻が口にした願いを叶えんとするため。

しかしそれだけでは、生き続けることは難しい。
喪失の傷が未だ、愛する者の体温を覚えているこの時には、なお。

生死のはざかい、はかない誓いを杖にかろうじて歩き続ける男。

その瞳が、不意に動く。
前触れなく眼前に現れた景色を前に、つと、焦点を結ぶ。

そこには――。


――――


ネット小説は、作者と読者が一から信頼関係を築いていく(破綻したらブラバになる)しろものだと思っています。

プロローグでこの先の光景に辿り着いて、お話の作者さんを信じられたなら、まずはおやつ代わりのビーツをどうぞ。

大丈夫、ちゃんとした料理人がおいしく仕立ててくれた調理済みです。作者さんと同じくらいには、信頼できる男のひと。
ただ、お腹が不用意にすいてしまう可能性にだけは、ご注意を。

★★★ Excellent!!!

大切な人と美味しい料理を食べること。その幸せを強く感じさせてくれるポカポカ癒されグルメファンタジーです。

戦乱の世。そこに存在する革命軍の拠点が物語の舞台です。
戦災で妻や子どもを失ってしまったダズリーは、生きる気力を見出せないまま、ここで料理人としての日々を過ごしていました。
そんなある日、彼は行き倒れの狐獣人の子どもヒナを拾います。
やがて砦の一員となる彼女や仲間に料理を振る舞い、ヒナと心を通わせていく内に、彼の心境にも温かな変化が生まれ……?

短編連作で綴られる本作には、毎回美味しそうな料理が登場します。
しかもそれは誰もがイメージしやすい家庭的な料理ばかり。
想像しただけでお腹が空きますし、時に懐かしい思い出を呼び起こさせ、心が温まってきます!
ダズリーをサポートしてくれる、オーブンの火蜥蜴や白雪狼たちの活躍もポイントです。可愛らしくて、一家に一匹欲しくなっちゃいます。

そして何より、ヒナちゃんの可愛らしさは声を大にして叫びたい!(笑)
他国から来たという設定のため、カタコトのちょっと幼い話し方をするのも愛らしいですし、感情で揺れ動く尻尾や耳の描写にも注目です。
彼女視点で語られる閑話では、健気でちょっと大人な思考も垣間見れて更に魅力が増しますよ!
そんなヒナちゃんとダズリーさんの関係性が今度どうなっていくのか。
こちらにも注目してみて下さいね。

美味しいものって大切な誰かと一緒に楽しみたいですよね。
あなたも大切な誰かを思い浮かべながら、この温かな世界に触れてみて下さい。

おすすめの作品です!

★★★ Excellent!!!

 戦乱に巻き込まれ命を落とす人がいれば、取り残される人もいる。哀しい別れを経験すれば心はすさみ、もしくは諦めて、残りの人生を漫然と無為に過ごしてしまうかもしれない。
 主人公ダズリー(通称ダズ)も、喪失を抱えながらも、未来の平和のためにという願いを縁に残された生に辛うじて繋がれているような状態で、平和への始まりを作るであろう旗印のいる砦の門をくぐる。

 と、かなり硬派な世界設定ですが、物語自体はダズと拾われた狐っ子ヒナとのほんわかキッチンライフ。オーブンは火蜥蜴たちが踊りながら熱を加えてくれ、冷蔵庫は白雪狼が冷やしてくれる。精霊たちと共にある厨房は少女心を刺激するファンタジー感。
 
 見知らぬ文化の食べ物も試行錯誤をして、たくさんの料理で心をほぐしながら、ダズも新たぶ守るべきものの存在に気付いていく……とハートフルなほのぼのエピソードの中に、根底の骨太なテーマが下支えしていて読み応えのある作品。

 エピソードごとのまとまりがあるので、章単位の一気読みもおすすめです。

★★★ Excellent!!!

革命軍の砦が舞台の、ほのぼのとしたグルメファンタジーです。
味や匂いが伝ってくるような巧みな描写に、どの料理も食べたくなること必至なのですが、注目すべきは登場人物!
なんといっても、もふもふ子狐ヒナちゃんがかわいい!!
そのヒナちゃんの愛らしさに戸惑いをみせる、三十路の料理人。
タグに「おっさんミーツガール」とありますが、家族を亡くした三十路のおっさんが、かわいい子狐ヒナちゃんとどのような関係を築くのか、要注目です!!
さらには翼をもつ少女や筋肉好き洗濯シスターズなど、キャラが際立っていて、会話の面白さにニマニマしてしまいます。

設定の上手さも抜群で、料理の火はガスでも薪でも魔法でもないんです。
火蜥蜴です!
火力調節に秀でた火蜥蜴。一家に一匹欲しいな〜と羨ましくなってしまいます。

料理は作る人と食べる人の信頼関係があってこそ美味しくなるし、心が温かくなるのだと気づかされます。
ファンタジーの世界観を思う存分に活かしながら、料理で絆が結ばれていくストーリーをぜひ味わってみてください。

★★★ Excellent!!!

人間と魔族が血肉を削り争う戦乱の世。戦いの最中ですべてを失い絶望の淵で彷徨っていた料理人のダズリーが辿り着いた砦、そこは森の奥にそびえ立つ革命軍のアジト。この場所から彼の再起が始まる。

本作は心に深い傷を負った一人の料理人ダズリーと行き倒れていた謎の狐っ娘ヒナを中心に森の砦の中で展開するグルメな物語。主人公は腕利きの料理人、その肩書通り章ごとに素晴らしい料理がお出しされ、読者の空腹神経を刺激します。
ここで上手いと思ったのは、下手に高級料理を出さずに、簡単な素材から作れる家庭料理を主軸にしてる点です。

ミートパイや野菜のクリームスープ、日本人なら良く知っている桜餅など、拝読中どれも簡単に想像でき、はとりさんが書く綿密な調理描写のおかげで、完成した時にはホッカホカなイメージが頭の中に広がっています。
出来上がった料理やお菓子を登場人物達が食べる場面は羨ましいの一言、私も何度食べたいと願った事か、そう思うほど読者を惹きつける文章力がこの作品にはあります。

特に今作のヒロインである狐っ娘のヒナちゃん、この子が見せる反応がとーっても可愛いのです!! ダズリーと初めて会った時は怖いくらいに警戒していたヒナちゃん、しかし彼が作る料理のおかげで心が解され、素直で優しい面を見せてきます。
目をキラキラと光らせ耳をピクピクと動かしながら、ダズリーにどんな料理を作るのか興味津々で尋ね、調理中はじっと待ちながら尻尾をぱたぱたさせるのです、もうこの子の仕草が可愛すぎて、エモさの余り心の中で何度も吐血しましたよ、ええ。
こんな愛らしいヒナちゃんと交流を重ね、ダズリーは心の傷を少しずつ癒していきます。

温もりと愛情の込められた料理の香りが、画面を越えて読者に届くハートフルな砦の一幕、紡がれる優しさに素敵な満腹感を得られる物語は如何ですか?

★★★ Excellent!!!

無精髭こと三十路の料理人・ダズリーと、森の中で行き倒れていた狐っ子のヒナが出会うことにより始まる、ほのぼのグルメファンタジー!

この作品で特筆すべきは、厨房に集うキャラクターたちの可愛らしさでしょう。狐っ子のヒナを筆頭に、翼っ子の姉妹や筋肉に目がないケモミミ姉妹などなど、とにかく可愛い女の子たちに癒されます。
特にヒロインであるヒナの言動には、読者はもちろん三十路のおじさん(主人公)も心揺らぐ可愛さがあります。

そしてもうひとつ、注目すべきはやはりおいしそうなグルメです。
登場するのは甘いスイーツからニンニクのきいたパンチのあるおかずまで様々。
どれも文字を目で追っているだけで、漂う香りや舌の上でとろける様が感じられるのです。
ヒナが食べたいと言う故郷のお菓子を、少ないヒントで再現しようとするダズの手腕も見ものです。

ほのぼのグルメライフの中に散りばめられた、キャラクターたちの恋愛エピソードも必見。
読めばきっと、ほっこりした気持ちになれるはず!

★★★ Excellent!!!

戦災によって家族を喪った料理人ダズリー。革命軍の砦で包丁をふるうことになった彼は、ある日狐獣人の子供、ヒナを拾う。
身寄りのない彼女を引き取り、砦での生活が始まるというお話なのですが。

まず何よりも狐っ子のヒナが可愛い!和国であるジェパーグ出身である彼女は言語もカタコト、文化も違うので、モチやらハシやら聞き慣れない語彙にダズリーも砦の者達もちんぷんかんぷん。それでも、耳や尻尾で感情がすぐにわかってしまうという、獣人っ子の愛らしさが最大限に出ています。
対するダズリーも、ヒナの為に料理人としての知識と腕前を駆使して様々な料理を作ってあげます。ヒナの出身地が日本を模したジェパーグであることから、読者には簡単に想像できる「ダイフク」や「ダンゴ」もダズリーにとっては未知の食べ物。カタコトのヒナから得られる断片的な情報をもとに、彼女の喜ぶ姿が見たくて一生懸命にそれらしいお菓子を作るダズリーの姿は、忙しさに追われてコンビニや店屋物で済ませてしまう食生活をしている我々現代人に、料理や食事の温かさを思い出させてくれます。

誰かを想って作る美味しいご飯。
大切な人達と食卓を囲む楽しさ。

戦乱の世を舞台にしているだけあり、砦に集まるのは辛く苦しい経験をしてきた人達ばかり。だからこそ、平和で優しい時間の大切さが身に染みます。

もちろん、ファンタジー世界ならではの魅力もたっぷり。砦のオーブンは精霊である火蜥蜴が火を起こしてくれるのですが、焼き上がりを知らせてくれたり自分で火力調節してくれたり、ワクワクするような仕掛けがいっぱいあります。様々な地域から人が集まっている為、同じメニューでも地域差が出てくる所も面白いですね。たくさんのご飯と砦のメンバーの触れ合いを通してダズリーやヒナの心情にも徐々に変化が出てくるところも見所です。

ファンタジーの魅力とご飯の美味しさ楽しさがぎゅぎゅっと詰まっ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

革命軍の砦を舞台にした、おっさん料理人と狐っ娘によるほっこり飯なお話です。
この作品、広義ではグルメ系ファンタジーノベルになりそうですが、以下の点で他の作品とは一味も二味も違うものになっています。

・狐っ娘の言動がかわいい。とにかくかわいい。それでいてあざとさがないため、ずっと観ていられる。
・おっさん(三十路)の心の機微を追うのがとても楽しい。カッコいいだけでなくかわいさも感じる。
・背景にある世界観がしっかりしていて、世界そのものも楽しめる。

舞台は砦ですので、ともすれば殺伐としがちなところではあると思います。
ですが、カッコかわいい料理人と有能な助手でもあるかわいい狐っ娘の二人が貴重な癒しになっていくのだろうと、読み進めていくにつれて確信していくことになると思います。

★★★ Excellent!!!

戦災によって傷ついた心を抱える料理人のダズリーと、ワケあり空腹で倒れていたキツネっ子魔族のヒナ。深い森の奥にある革命軍の砦でふたりが出会い、おいしいごはんを通して親愛を深めていくほのぼのファンタジーです。

歳の差、ケモミミ、おっさん、お料理――時代が求める要素を余すことなく散りばめつつも、このお話の全篇から立ち昇るのは炊き立てごはんのような温かな優しさ。この砦に身を寄せる者は総じて戦の世の中に苦しめられてきた者たちばかりですが、だからこそ仲間を想う心が強い。最初は警戒心でいっぱいだったヒナも、ダズリーの素朴な思いやりにだんだんと心を開いていきます。

人間族はもちろん、この世界には魔族や獣人族といった異なる種族が暮らしています。思想も好みも違う彼らが集う砦のキッチンを取り仕切るダズリーは毎日大忙し。彼の愛する調理場には火加減を調整してくれる火蜥蜴といったユニークで可愛い助手もいて、まさにファンタジーの憧れがつまっています。かと思えば調理パートはリアルに表現されており、思わずレシピを書き留めたくなるほど。誰か作ってくれないかなあ……笑

どんなに悲劇に見舞われようと、生きていればお腹が減る。傷ついても塞ぎ込んでも、空腹からは誰も逃れられません。ダズリーは重い剣を振り回すことも派手な魔法を行使することもできませんが、彼は彼なりに砦のみんなの胃袋を整えてあげているのです。食べるひとのことを心から想う繊細な料理の数々は美味しそうなのはもちろん、すこし不器用な三十路料理人の優しい心がいっぱいに篭っていて思わず目から塩スープが流れてしまいそうになることもしばしば。

砦が迎えるキャラクターは段々と数を増し、やがてあちこちで春の訪れを感じることに。大人として若者たちの恋の行方を面白がるダズリーですが、実はそばを離れない小さなキツネっ子の存在が思った以上に大きくなり……?幼いだけかと思… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

革命軍の砦で料理係をしている三十路のダズリー。
ある日、彼は森の中で倒れている狐耳の少女を助ける。
ヒナ、と名乗った少女はダズリーに懐き、一緒に砦で生活することになるが……

メインの人物がとにかく可愛い!
狐っ娘であるヒナの挙動や言葉遣いが可愛く、いつも癒されます。
ある事情があってたどたどしい喋り方なのですが、そこを魅力として描いているのが巧いです。

そして料理人のダズリーがいつもヒナを喜ばせようと頑張る姿が良いです。
ヒナの食べたいものを聞くと、あれこれ考えながら最高の一食を作り上げ、ヒナの喜ぶ姿を見て満足する。
ダズリーの知らない料理があると、創意工夫しながら近い料理を作る過程も面白いです。
料理を作る描写が丁寧で、思わずお腹が空いてしまいます。

ダズリーはヒナの保護者として振る舞っていますが、ヒナにはある秘密があります。
その秘密を知ると、もしかして二人の関係も変わっていくのかな、というドキドキも……!

ダズリーとヒナの楽しくて美味しい、ときどき恋の物語。

★★★ Excellent!!!


美しく優しい文章で、子狐娘のヒナが可愛過ぎます!
読み進めると、可愛さもどんどん上昇します!

革命軍の料理人ダズは子狐娘のヒナと出会います。
革命軍で彼女を保護することとなり、ダズと仲良くなっていきます。
ダズや革命軍の人たちは悲しい過去を抱えていて……

ヒナの姿を想像する度にニヤニヤしてしまうのです。
あー、可愛い!
その姿を想像させる作者の文章力が素晴らしい。
一気に読んで、そのままの勢いでレビューを書いているくらいですから、私の心にどれだけ響いたか伝わるはずです。

オススメです!
そして、ヒナが可愛いです!
是非お読みください!!

★★★ Excellent!!!

三十路の無精髭が銀色の子狐を拾うことから始まる、ほのぼの&お料理&砦の仲間たちとの日常&これからほんのり薫るであろうラブ要素の詰まった、とってもかわいらしいお話です。

本作の主人公ダズことダズリーは、とある革命家たちが集まる砦に身を寄せる料理人。自身もつらい過去を抱えつつ、砦に住む皆の食事を作ったり、裏の畑で簡単な野菜を作ったりして生活しています。
一見のんびり過ごしているように見えるダズですが、心の奥にはまだ消化できていない過去の喪失が燻っており、その思いを抱えたまま生きていくのだと彼自身も自覚しているよう。
そんな彼の元に、何ともかわいらしい狐の獣人…ではなく本性は魔族なのですが、とにかくかわいいヒナという少女が転がり込んでくることで、彼の渇いていた心に少しずつ新しい風が吹き込んでくる……そんなあたたかいお話。

……なんですが……。

細かいことはいいのです!
いや、よくないけど……そういうシリアスなお話は本編の方で楽しめるので(本編はダズではなく、この砦のリーダーたちを軸にした重厚なファンタジー)こちらでは、全編癒やし全開! もふもふとおいしそうな料理と少女たちの楽しい会話に温かい気持ちになって下さい!

個人的に是非ともお勧めしたいのは、ヒロインであるヒナちゃんの超☆絶!ひらがなオンパレード!! 読めばわかる! このひらがなの破壊力! ヒナちゃんが喋るたびに、読者の心は鷲掴みにされ、口元はだらしなく緩むでしょう。

そしてもうひとつのお勧めは人外描写ですね! ヒナちゃんも、そして砦にいる人も人外多いんですが、それより何より私のお勧めは火蜥蜴です!
オーブン料理に欠かせない彼ら3匹の動きがもうかわいいのなんの! この作者様はほんっとうに人外描くのお上手なので、そこも楽しみの一つになります。えぇ、絶対!

タイトルに「革命砦」ってついてるからシリアスなお話なのかな… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

三十路の料理人ダズリーには、戦災で全てを喪った過去があります。
身を寄せた先の砦で料理人として暮らしつつも、寂しさを紛らわすためなのかベビースモーカーになり、家族との思い出のメニューも作らなくなってしまったダズリー。ある日、お腹を空かせた狐っ子を拾ったことがきっかけで、彼の人生は彩りを取り戻していきます。


まず最初に言わせて下さい。狐っ子ヒナちゃんが可愛らしすぎます!
異国出身ということでカタコトで話したり、時々子狐姿になってしまったりと、見ていて自然と頬が緩んでしまいます。そして尻尾がモフモフ‼︎
そんなヒナちゃんですが、実はとても聡い子です。人の心の機微をちゃんと理解していて、いつしかダズリーの心を癒す存在になっていきます。
二人の心の交流だけでも、一作の魅力としては充分すぎるのではないでしょうか。

それに加え、実際に作ってみたくなるほど美味しそうに描写されるお料理たちや、オーブンに住む火蜥蜴精霊などのほっこりファンタジー設定。そして砦内の様々な人間模様……。

盛りだくさんな魅力に溢れた本作を、ぜひご一読下さい!

★★★ Excellent!!!

 戦災によって喪失を経験した三十路の料理人が狐の少女を拾ったことをきっかけに、料理を振る舞い交流を深めてゆく。背景は殺伐としていながら、いや殺伐としているからこそ、心の底からあたためられ癒されてゆくのほのぼのスローライフな物語です。

 理不尽にも家族も住む場所を喪ったダズリーは、革命軍の砦に行き着きます。ぽっかりとした穴を抱えながら料理人としてその隠された砦で過ごしていたのですが、ある日行き倒れた狐の少女ヒナを拾うことに。
 砦の料理人として料理を振る舞う日々は、ヒナとの出会いをきっかけに少しずつダズリーの心境にも変化が訪れてゆきます。

 この作品は主にダズリーとヒナとの交流が主体なのですけど、ゲストとして登場する砦の人たちとのやり取りも微笑ましく友情や恋模様を添えていて、まさに美味しい場面ばかり。
 ダズリーが作るお料理の数々もとても美味しそうで、食べたくなってしまいます。

 基本的に三話構成の連作短編になっているので、気軽に手を取りやすくておすすめです。
 雪の降る日に飲むアツアツのスープのように、傷ついた料理人がヒナとの交流でじわりじわりと癒されてゆくさまは尊いの一言しかありません。
 疲れた日々の癒しにあなたも読んでみませんか?
 イチオシのおすすめです。ぜひご一読ください!

★★★ Excellent!!!

『こころのチキンスープ』ご存知でしょうか?
 私が小さい頃に大好きだった本です。今作はそのファンタジー版と言っても良いかもしれない、それくらい読んだ後に温かい料理をこちらまでいただいたような、優しくてほっこりとした気持ちに包まれる名作です。

 戦乱の大陸の中、革命軍の拠点となる砦に身を寄せる料理人のダズリーはある日行き倒れている銀色の狐耳の女の子を拾う。
 言葉が少したどたどしい感じのあるその子はどうやら訳ありのようで……。

 距離を少しずつ測りながら、縮めながら、懐いていく狐っ娘ヒナと、彼女のころころ変わる表情にだんだん絆されていっているようなダズさん。
 この2人の関係が可愛くてたまりません……!!
 もちろん他のキャラクターも、作り込まれたその世界観も素敵で、ひとつひとつ掘り下げたくなるほど。

 魔法を扱い、料理をしていく描写も思わず涎が出そうなほど。本当お腹が空きますよ♪

 誰もが何かしらの喪失を抱えた場所で、出逢った彼らが紡いでいくものは何なのか。
 誰かの為に何かをしたいとき、それは大きなことじゃなくてもいい。ほんの少しの思いやりとささやかな優しさが広まったとき、ぐんと心は癒され近づいていくもの。
 そう改めて教えてもらえるような作品です。

 ゆっくりとその未来を見つめて応援したくなる、こちらの心まで温まるそんな物語。大人から子供まで、癒やされること間違いなし。
 ぜひともご一読を。