三十路男の料理人が狐っ子を拾う。飯テロ必至の癒し系なお話です。

 戦災によって喪失を経験した三十路の料理人が狐の少女を拾ったことをきっかけに、料理を振る舞い交流を深めてゆく。背景は殺伐としていながら、いや殺伐としているからこそ、心の底からあたためられ癒されてゆくのほのぼのスローライフな物語です。

 理不尽にも家族も住む場所を喪ったダズリーは、革命軍の砦に行き着きます。ぽっかりとした穴を抱えながら料理人としてその隠された砦で過ごしていたのですが、ある日行き倒れた狐の少女ヒナを拾うことに。
 砦の料理人として料理を振る舞う日々は、ヒナとの出会いをきっかけに少しずつダズリーの心境にも変化が訪れてゆきます。

 この作品は主にダズリーとヒナとの交流が主体なのですけど、ゲストとして登場する砦の人たちとのやり取りも微笑ましく友情や恋模様を添えていて、まさに美味しい場面ばかり。
 ダズリーが作るお料理の数々もとても美味しそうで、食べたくなってしまいます。

 基本的に三話構成の連作短編になっているので、気軽に手を取りやすくておすすめです。
 雪の降る日に飲むアツアツのスープのように、傷ついた料理人がヒナとの交流でじわりじわりと癒されてゆくさまは尊いの一言しかありません。
 疲れた日々の癒しにあなたも読んでみませんか?
 イチオシのおすすめです。ぜひご一読ください!

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