理不尽極まりない現実世界に揉みに揉まれた果てに異世界転生されてしまった主人公が転生したのは、戦争が真っ只中の過酷な異世界でした。
そんな主人公のアドルフくんがゲットしたスキルは【食材召喚】。
一見、戦場では何の役にも立たないように思えるスキルと、前世で培ったスキルを駆使しながら、目の前の問題に立ち向かってゆきます。
この作品のすごいところは【食材召喚】というスキルを工夫して戦場でも役立てていること。
その創意工夫には彼の豊富な知識に裏打ちされたものなのですが、ピンチを切り抜けるだけでなく、登場する人たちの心の檻まで開けてしまうのだから、あら不思議。
気負わずに楽しく読める、まさにエンターテイメント小説です。
ぜひ読んでみてください。第一話だけでも!
一気に引き込まれること間違いなしです!!
ブラック企業にこき使われ、休暇も通院も療養すらままならず過労死した主人公は、念願の異世界転生を果たした。しかしそこは前世に負けず劣らずの過酷な戦争世界。どうしてこうなった……!?
アドルフ・カノン・フォーゲル。彼が賜ったスキルは【食材召喚】という、戦場では絶妙に役立たない(と思われる)ものでした。
しかし彼は立ち塞がる逆境に打ちひしがれることなく、前世の知識と経験を駆使して成り上がってゆくのです。
よくある異世界転生モノの流れですが、生前の過酷な職場環境や転生先の軍環境&戦場は、どこかで見たことがあるほどリアルで鬼気迫るものです。彼はスポーツ医学や料理スキルを生かし、また逆境になればなるほど冴え渡る機転を生かして、生き残り戦果を上げ味方を増やしていくですが、その勢いがなんとも清々しい。
とはいえ本人は、パティシエになってご飯とお菓子に囲まれるのんびりした人生を望んでいたようなのですが……。
とにかくも、まず第一話を読んでみてください。
きっと引き込まれ、読み耽ってしまうに違いありません。
異様なハイテンションから始まる第一話、何かを彷彿とさせるけど気にしてはいけない。そういう世界観ってだけだから! 異世界だし。
これでもか! という悲惨な現実世界。数ある過労死転生もので、そりゃあ死なない方がおかしいレベルの、というか、ここまで育った事が奇跡のレベルではという経験を経た主人公、流石についに異世界転生に至る……。「おやおや流行ものですか? それはちょっと食傷気味で」という君、ちょっと待ったぁ!!!
これは、そんなありきたりな物語ではないのである。ネタバレしたくないので、とりあえず読んでみて欲しい。「これは今まで見た事ない」のオンパレードだから。
あらすじを読んでパティシエ云々から「お菓子作りが得意な主人公が、クッキーとか作ってイケメンを篭絡」する話をイメージした人も間違ってる。何て言うか……ああ、適切な言葉が私の語彙にない。
文章がリズミカルなビートを刻み、合間にはさまるシャウト(主人公の魂の叫び)がロック過ぎる。
なんていうか、もう頭を空っぽにして読みたい。オーディエンスの一人になりたい。これはフェスだ。これが本当のフードフェスだ。北海道物産展とかを想像してはいけない。
襟を正せ! 踵を揃えろ! 今こそ、あの言葉を叫べ!!
ALL HAIL CALORIE!
理不尽に次ぐ理不尽により過労死を遂げた主人公が転生したのは、食文化の方向性の違いで戦争の起きるトンデモ異世界!
ハズレスキルしか持たない上、孤児院育ちという不利な身分でも、その身体能力から軍にスカウトされちゃった!
待つのは地獄か修羅の道、はたしてここから巻き返しを図れるのか?!
冒頭からハイテンションでブッ飛ばしていくような作品です。
前世の不遇が酷すぎて聞くだに辛いんですが、その経験を見事に活かしたド根性と反骨精神は痛快の極み。
言葉遊びを絡めた語り口、テンポの良い小粋な会話の応酬、そして映画みたいなハイスピードアクション!
楽しい! とにかく楽しい! まさに文章で読むエンターテインメントです。
どんな不条理にも決して折れない主人公・アドルフ。そりゃそうだ、前世あれだけ酷いことがあったらねぇ……。
自分の受けた理不尽を人には押し付けない。
美味しいごはんがあればそれで幸せ。
そんな彼の生き様が、ひたすらカッコいいのです。
読めば元気をもらえて、思わずアドルフ(作者さまも)を応援したくなること間違いなし。
毎回の更新をものすごく楽しみにしています!