執筆スキルでゲーム世界を救う。健気な主人公を応援したくなります！

　大好きだったオンラインゲームがサービス終了してしまい、十五歳の恒夜は心ここにあらずな毎日を送っていた。
　高校入学を控えた春、不思議な人に会う。その人はゲーム世界に行く方法があるという。しかし、それは帰ることができない、一方通行の異世界転移で……。
　スマートフォンと執筆スキルを武器に、神様が棄ててしまったゲーム世界を救うためにがんばるお話。

　なかなかに衝撃的な主人公の過去と、大切なあの子とかわした約束と。これでもかというほど素敵な要素が入ったお話です。
　現代に生きる高校生がゲーム世界へ異世界転移、人外のお兄さんからチートスキルを授かるという、最近ではよく見るようになったお話かと思いきや、この作品は少し違います。

　なにより私が強く推したいのは異世界転移してしまった主人公と、現代世界に残った父親との関係です。
　よく見る異世界転移ものですと、主人公の両親の関係は絶たれてしまうことが多いのですが、この作品は違います。父親との関係は良好で、互いに家族として大切にしています。
　異世界に渡ってから恒夜にとってお父さんの存在が大きくなったり、胸が熱くなるエピソードがあってとても好きです。

　また主人公の恒夜が素直で真面目ないい子なのです。この作品は彼の一人称で綴られていくので、読んでいて癒されますし応援したくなります。
　日常に疲れた時の癒しになること間違いなしですので、ぜひご一読ください！