隠された砦で料理を振る舞う

 流れ着いた森の奥に、その砦はあった。
 男は身ひとつでたどり着く。
 料理の腕前を活かそうと、砦の料理人となった彼はある日子狐を見つける。
 遠い異国の地からやってきたと思われる魔族の子狐ヒナに、彼は得意料理を振る舞った。

 殺伐とした森の外とは違い、知らない者にはたどり着くことすら叶わぬ砦の中で、今日も料理人生活を営む。
 彼の料理はヒナの胃袋をつかめるのか。

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