食べるとは生きること。そうして生まれるのは絆とそして…。

戦という渦に巻き込まれ、愛する人、場所を失った主人公ダズリー。
すべてを失った彼がたどり着いた場所は、その戦を止めんとする革命砦でした。
砦の料理人として過ごしていく彼はある日、行き倒れていた狐っ子のヒナと出会うことになります。
海を越えてやってきたヒナは言語の違いもあり、たどたどしい言葉でダズリーと、そして砦の人々と関わっていくことになります。
そのおぼつかない言葉や行動の愛らしさ、感情を素直に見せてくる姿にダズリーだけでなく読んでいる私たちの心を、彼女のしっぽのようにフルフルと揺さぶってくれるのです。
身寄りもなく互いに喪失を知る二人は、共に日々を過ごしていく中で少しずつその悲しみや痛みを埋めあっていくことになります。
彼女にとっては成長を、彼にとっては心の再生を。
互いが与えていく優しい思いや言葉に、皆様にも是非触れていただきたく思います。


その他のおすすめレビュー

とはさんの他のおすすめレビュー444