第一話「旦那様は奥様を溺愛中です」
第3話
「
聴き心地の良い声。
「寧々」
ふわりと感じる彼の指の感触。
頬を撫でる彼の指は長くて、柔らかい。無意識に頬を寄せてしまう。
ふふふ、と頭上で柔らかい音が耳を撫でた。
まだ陽が登らない時間帯に彼がこうして私の傍で名前を呼ぶのは珍しくない。彼が出かける時間だ。
―――…起きないと、そう思うのに体が起き上がらない。
「ん……?」
「寧々、いいよ。起きないで」
ああ、彼はいつも優しい。この心地のいい声をずっと聴いていたいとも思う。
するりと頬を撫でてくれた彼はゆっくりと顔を近づけてくる気配を感じた。
「行ってくるね、寧々」
落ちてきた唇は、甘くて。気持ちがいい。
―――…いってらっしゃい、桐鵺くん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます