第33話

―――…




「ねえねえねえねえねえねえ、知ってる??」



「…………」



「今,寧々ちゃんのスマフォが俺と寧々ちゃんのツーショット。しかも、寧々ちゃんが初めて俺を盗撮してくれた記念すべきツーショットなんだよ!知ってた??」



「…………」



「寧々ちゃんに盗撮した寧々ちゃんの寝顔ショットを見られた時はちょっとだけひやっとしたけど、まだ情事前の寝顔で良かったなーと思って。その前は鎖骨あたりまで見えてる情事後のちょっと頬が赤くなって,汗を掻いた寧々ちゃんだったから、流石にバレたら消されてたかもしれないし。……それにしても寧々ちゃんの情事後の汗ってさ、ちょっぴりしょっぱいんだけど,何だか甘い味もしてね。寧々ちゃんの体内から出てくる液体が俺の体内に入っていくっていうのを想像しただけでももう興奮して俺のむす」



「隣で妄想を口走んのやめてくれない?うざいんだけど」



「妄想じゃないよ。寧々ちゃんの汗が甘いのは,立証済みだから」



「…………っ」



移動が一緒になってしまい同乗していた百々はムカついて,助手席に座っていた静雄のシートを蹴った。何故か被害を受けた静雄は腰を押さえながら『お前ら、頼むから仲良くしてくれ』と渋られたのだった。



後ろに乗っていた桐鵺専属ヘアメイクの神崎栞は『寧々ちゃんの汗ってやっぱ甘いんだ!?そこんとこ、詳しく!!』と前のめりで桐鵺に問い詰めている。





「栞!!」



「えー!!百々ちゃん!怒らないで!こいつに聞かないと寧々ちゃんの汗の味を私が知ることは一生ないのよ!可哀想だと思わない!?」



「思わない」



「えー!即答!?」



「は、お前が寧々ちゃんの汗の味を知ることは一生来ない。こいつの汗でも舐めとけ」



「百々ちゃんの汗も舐めたいけど、私は寧々ちゃんの汗の味を知りたいんだよ!!!!」



「は???一億年早いどころか、一生来ねえっつってんだろ」



「アンタたち、勝手なこと言うな!!」



後ろで繰り広げられている話題に突っ込むことも諦めた池崎静雄は5徹を迎えており、『頼むから、俺を寝かせてくれないか』とボソッと呟いたのだった。






「奥様は旦那様を盗撮したいです」


旦那様には全てお見通しです


……奥様は何も知りません

毎日、一枚は盗撮されていることなど知らない方が幸せでしょう

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